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2025年6月10日 (火)

ありがちではあるけど

学校の授業や一般的な塾などで、解き方を教わって、それを使って問題を解くことに慣れている子達にはありがちな、例えば、掛け算を習った時のまとめテストは、出てきた数字をとりあえず掛けておけばほぼ正解できるというように、その単元で習った解き方を覚えて使えれば、そのテストはいい点数が取れるという状態。
そういう子達に対して、掛け算のまとめテストであっても、これまで習った足し算や引き算で解くものや、それを組み合わせて解く必要があるものなどを混ぜると、一気に正解率が下がるということも少なからずあるように思います。

そんな風にならないよう、教室では、なんとなく式を書いて答えを出したように見える子などに対しては、その式は何を計算しているの?とか、何を表しているの?とか尋ねて、きちんと説明できるかどうかを確かめることがあります。

解き方を覚えて、深いところまで考えずに解く癖がなかなか抜けない高学年さんと、今回のレッスンで小数の掛け算や割り算で考える問題をしてもらっていたときのこと。
50L入る水槽に8.5L入るバケツで水を満水まで入れるには、バケツ何杯の水が必要かを問う問題に対し、「50÷8.5=5あまり7.5」と書いて、6杯という答えを書いた後、水槽に入れられずに残った水を問われて、「7.5L」と答えました。
その答えを書く前に、5あまり7.5で答えを6杯とした理由を説明してもらったところ、「5杯だと7.5Lあまるから」と言ったので、7.5L余るのなら、6杯必要ないのではないかと尋ねても、うまく説明できず。そこは日本語の使い方を間違っているのだろうと思い、5杯入れたら、水槽の上がまだ7.5L空いているんじゃないの?というと、そうだと答えたのですが、きっとそのときもきちんと考えず、イメージもできていなかったということなのでしょう。

そこで、この問題は小数の掛け算や割り算を知らなくても、足し算、引き算ができる子なら解くことができると言っても、「あまり7.5」に固執するあまり、水槽とバケツと水をイメージしているのではなく、無理矢理、7.5L余るという説明に持っていこうとします。
この問題、数量感覚のある子や、絵や図を描いて考えられる子、普段からイメージして考えている子であれば、例えば、50L入る水槽に1杯入れたら8.5L、2杯で17L、…と順に考えて、5杯で42.5L、気づく子はこの段階で、あと7.5Lだから1L残ると気づくかもしれませんし、仮に気づかなかったとしても、6杯で51Lになりますから、6杯全部はだと1L分オーバーしてしまう。だから1Lは入れられずに残ると気づけるはずなのです。

でも、解き方だけ覚えて、なんとなく計算している子達は、計算で出てきた答えを使おうとして、頓珍漢な説明をしたりすることがあります。
今回の子も、それなら33L入る水槽に10L入るバケツで、水を入れたら、バケツ4杯の水を用意して、3L余るの?と尋ねたところ、それもまた、ろくに考えないうちに「うん」と言うのです…。なんとも悲しい気持ちになりながら、「10Lのバケツ4杯で40Lなのに、入れられないで残るのが3Lなのね?」とまで言ってようやく自分の考えがおかしいと気づいてはくれましたが、これはもうほぼ私が解き方を言ったようなものです…。

イメージできておらず、自分が何をしているかもわからず、ただ計算して答えだけ出せるというのは、算数の能力としてはほとんど役に立たないだろうと思います。そのことに気づいてもらえるまで、向き合い続けたいと思います。

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