憑き物が落ちる
うちに来てくれた時には既に、あまりよくない方法での先取り学習のし過ぎで、じっくり考えることができない状態だった低学年さん。
その後、本当に辛かっただろうと思いますが、耳にタコができるぐらい何度も何度も、じっくり考えて、自分がすっきりわかることが大事で、そうでないなら無理に先に進んでも自分の役に立たないということを伝え続け、簡単には手助けしないということを、結構長く続けてきました。
はっきり言って根競べのような状態で、繰り返し繰り返し同じことを言われても、響かなければ変わらないし、算数が楽しいと思えなければ、教わったことを覚えて処理するほうが楽と感じるかもしれないので、そういう子を変えるのは難しいことも分かっていますので、どうなるかと思っていましたが、本人が投げ出すことなくがんばり続けたことで、ある時本当に急に変化を感じるようになりました。
その変化が起こったときには表情も明るくなり、いい意味でおしゃべりになり、楽しそうにレッスンに取り組んでくれるようになったのです。
それで、もうかなり前に来てくれていた低学年さんのことを思い出しました。
その子も計算の先取りをしていたものの、ある段階から全く先に進めなくなったということで、悩まれたおうちの方がここを見つけて来てくれました。
ですが、数か月の間は表情が乏しく、問題を絵に表してといっても、それもできず、これまた根競べになりました。
考えられる打開策をあれこれやってみたものの、変化が見えず、私では無理なのかもしれないと、おうちの方にお詫びしたところ、幼児の内容まで戻ってもいいから、もう少し試してほしいと言われて、その頃にはもう2年生が見えてきていたのですが、本当に3までの数からおさらいをしたのです。
それと並行して、絵をかいて考える文章問題にも取り組んでもらっていたのですが、これもまたある時突然、絵が描けるようになり、それと同時に表情が明るくなって、おしゃべりになりました。レッスンにも楽しそうに来てくれるようになり、見違えるようにできるようになったのです。
まさに「憑き物が落ちた」という言葉がぴったりな変化でした。
じっくり考えられているときの子ども達の表情はとても穏やかです。
苦しそうにしているときは、その勉強法が何か間違っているのかもしれません。
子ども達の表情や反応を見ながら、苦しいだけでほとんど役に立たない勉強を強いることのないよう、気を付けて頂けたら嬉しいです。
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