先取りの弊害
小さい頃から、教えられて解く形の勉強で先取り学習をしてきた子達にしばしば見られるのは、計算の仕方などは覚えてはいるものの、数の感覚、大きさの感覚を伴っていないという状態です。
掛け算の筆算の書く場所を間違えて、明かに大きい答えや小さい答えになっても、それに対して違和感を感じず、こちらが指摘しても全くぴんと来ないであるとか、小数の計算で点の位置が明らかにおかしくても何がおかしいのか気づけないであるとか、そういう子は、たとえ答えが出せたとしても、それが真の力になっているとは全く言えませんし、そもそも、自分が何をしているのか分かっていないとも言えますから、楽しさもないことがほとんどです。
先取りをしてきた子達なので、学校の進度に対しては余裕があることが多く、おさらいをすることはできるのですが、一度習ってしまったものが邪魔をすることも極めて多いのです。
今日のレッスンでも、ある低学年さんが小数÷整数の学習をしていて、あまりも出す問題の小数点を、本来は0.06なのに0.6としました。
そこで、問題の6の数字を指して、「(0.6の)6はこの6よね?なのに0.6なの?」と尋ねたのですが、ああという反応ではなく、その子がしたのは、6を10分の1の位の下に書き直して0.6にすることでした。
その子と一緒にレッスンするようになって1年ほどになり、当初と比べると相当考えてくれるようになったのですが、数の感覚が伴っていないのはずっと感じており、これまで先取りしてきたことがすごく邪魔をしているように感じます。
小さい頃から先取りをしている子達はほぼ例外なく、真面目にがんばってきたはずなのです。しかし、勉強の仕方によっては、かえってそれが足を引っ張ってしまうことがあるということを、保護者の皆さんにはもっと知って頂きたいといつも思っています。
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