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2024年3月26日 (火)

根競べは続く

ここに来てくれるまでにかなりの先取り学習をしていた1年生さんと、進めるところは進めつつ、数量感覚やイメージが伴っていない状態をどうにかしてそこにアプローチして、変わってもらいたいと思ってレッスンをしています。
来てくれた当初を思えば、ものすごい変化は起きていると思うのですが(おうちの方もそう言ってくださいますし)、それでもせっかく図を描いているのに見えていないもどかしさからはまだ脱せずにいます。

図すら、既に習って、こんな風に描きなさいと言われたんだろうなというような線分図を描くぐらいで、それを描いている間はイメージとは結びつかないだろうと、敢えて簡単なレベルのものから順にして、式で表しづらいものは絵にしてもらうということを繰り返しています。
これは少し難しい問題ではあるのですが、先日来、48㎝の針金5本を切り分けて、1辺が5㎝の正方形を作ると、いくつの正方形ができるかという問題を考えてもらっていて、宿題を解いて最初に持ってきたときは、「48×5=240 240÷5=48 48÷4=12 答え12個」となっていたので、1辺5㎝というのは、2㎝と3㎝をくっつけるとかではなく、長さが5㎝の針金で作ってねということを確認したところ、次は「48÷5=11あまり3 11÷4=2あまり3 2×5=10 答え10個」になりました。しかし、答えは違うし、図にも表していなかったので、もう一度図を描いて考えてくれるように伝えました。
すると、次は1本の針金を表す図が描かれ、それを5㎝ずつ分けて、最後が3㎝になっており、そのうち、4つ分、4つ分と区切って(2つできるということ)2×5=10 答え10個と、再び10個になりました。

この問題はもし実際に針金と針金を切ることができるハサミと定規を用意したら、絶対にいくつできるかわかる問題よね?計算ができない子でも、それを用意してあげたらできると思うよ?と話し、1本だけではなく5本全部を図に表して、答えは何でもいいから、その図を見て、どうしてその答えになるのか説明をしてくれるよう促しました。

すると、5本分同じ図を描いたのですが、どうしてなのか、相変わらず10個、それが違うと言われたら12個に答えが変わる繰り返し状態。
このところ、その日のレッスンで先にすべきことをした後、それを考えてもらって、時間になったら預かるということを繰り返しているのですが、残念ながらまだ気づいてもらえません。

ですが、ちょっと違うパターンながら、かつて計算だけ先取りして、100までの繰り下がりのあるひき算になったところで完全ストップしてしまったという1年生さんとレッスンをさせてもらったとき、おうちの方も色々試して、塾や教室も探して、藁をもすがる思いで来られていて、どこからやり直してもらってもいいとのことだったので、本当に3まで、5まで、10まで、20までと順を追っておさらいし、100までも教具を使えばできるというところまで来ました。教具での学習も普通よりかなり時間を取って、そろそろできるかなと教具が図になったプリントをしてもらうと全くできない。再び教具に戻るとできる。しかし、プリントになるとできない…と、それまでに経験したことのない状況に陥って、私では役に立てないかもしれないとおうちの方にお詫びもしたのですが、やれることは何でもやってみてほしいとのことだったので、幼稚園の子でもできるお絵かき文章題を本当に簡単なところからやってみてもらうことにしました。

すると、問題は簡単なはずなのに、初めのうちは全く絵が描けないのです。出てきた数を適当に足したり引いたりするだけ。
教室だけでなくおうちでも根気強く取り組んでもらったのですが、しばらくの間は全くダメでした。さすがにここまで来ると、何か発達上の困難でもあるんだろうかと思いかけてもいました。その間ずっとその子の目はぼんやり力のない目のままでしたので、さすがにもう無理だろうかと思いかけていたある日、突然絵を描き始めたのです。それは本当に突然の変化でした。本当にびっくりしましたが、その時から明らかに目に力が宿り、表情が明るくなりました。
そして、一度描き始めたら、そこからは当たり前のように絵を描くようになり、それと並行して、再び20までの引き算、そしていよいよ100までの引き算へと進んでみたところ、嘘のようにすんなりクリアしたのです。

おうちの方も、何より子ども自身もびっくりして、とても喜んだのを覚えています。

ですから、今、48㎝の針金5本の問題が解けないその子も、自力で気付くことができたら、何か変わるきっかけになるのではないかという気もして(そういう話を本人にも伝えています。)、今はまだ根競べを続けています。

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