確かめてほしい
これまでも何人かそういう子に出会ったことがありますが、そして、恐らくうちの教室でなければ、そういう状態になっている子はもっと大勢いるのではないかと思いますが、お子さんに小さい頃から先取りでどんどん算数を勉強させるのであれば、くれぐれも気にかけておいて頂きたいことがあります。
小さい子達の数の把握の仕方は、まず3まで、次に5まで、続いて10まで、20まで、100まで…というように段階を経ていくのが普通のようです。もちろん、持って生まれた算数の能力などによって、その段階がほとんど感じられない子もいるかもしれませんが、ぱっと見て3を把握できない子に5を見せても、5という数を実感することはできません。
3までが把握できるようになったら次に5まで。それがつかめたら10まで。100を超えてくると、ぱっと見て把握するという感じではなくなっていきますが、10まで、20までをきちんと理解した子にとっては、そこから先は繰り上がりの仕組みが同じなので、量を感覚的に理解することもある程度可能になる場合がほとんどです。
しかし、小さい頃から計算などを先取りさせる場合、数量感覚を伴わないまま、とりあえず計算の仕方だけを覚えて答えを出すという状態になってしまう子も少なくないはずです。
その結果、桁が違うような明らかにおかしい答えを書いていても、自分ではおかしいという感覚がなく、間違いだと言われたから計算をし直すという作業をするだけになります。
今教室に来てくれている子の中に、まだ低学年なのに、計算に関しては6年までのものを既に一通りやり終えている子がいるのですが、最近のレッスンで2桁で割る割り算をしてもらったところ、不思議なことに、答えが3になるものは33、5になるものは55というように、なぜか2桁同じ数字が並ぶのです。
もちろん、それ以前にも数の感覚をイメージできていないようだというのは感じていたので、硬貨を見せたり、絵を見せたりしながら進めていたのですが、例えば、135÷45という問題に33と答えたとしたら、「135円しかないのに、33回も取れる?」といっても「ああ、そうか」という反応はなく、ただもう一度考え直して3と答えるだけなのです。
過去にも、そんな風に計算を相当先取りで勉強した低学年さんが同じように、桁違いの答えを書いてもそのおかしさに全く気付いてくれないということはありました。
これでも先取りしている意味があると言えるでしょうか。
もちろん、考え方は人それぞれですから、できないよりできる方がいいという方もいるでしょうし、量の感覚は後からついてくるという方もいるでしょう。(実際、そういう可能性はありますが。)
でも、せっかく先取りするのであれは、自分が何をしているのか理解しながら進んだ方が、本人も楽しいでしょうし、実際に力になるはずです。
せっかく時間をかけるのであれば、それがかえって子どもの足を引っ張ってしまうことにならないよう、くれぐれも様子を見ながら、時々は感覚が伴っているか確かめつつ、進めて頂きたいと思います。
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