イメージできれば
私自身も何度も実感していることですし、子ども達を見ていてもたびたび感じることですが、算数の問題を前にして、それが本当の意味で考えられるか、解けるかは、その問題に書かれていることをイメージできるかどうかにかかっているのだと思います。
算数に限らず、「考える」ということは、何かを頭に浮かべていなければ始まらないことですから、イメージできないものを考えることはできないと言っていいのかもしれません。
算数や数学などでは、例えば本人は全くイメージできていない状態でも、公式を丸暗記したりして、何をしているのかは分からないものの答えは出せる、一応解けるという状態があると思います。高校生だった私にとっての数学はほぼその状態だったのだと、今はよく分かります。
また、これまで何度も書いていますが、私は空間認知の能力を持って生まれてはいないので、空間図形などの問題で、初見では全くイメージできないものなどは、それがたとえ中学入試で小学生が解くような問題であったとしても、やはり解くことはできないのです。
そういうものをとにかく解かなければならないとなれば、イメージはできないけど、解法を暗記するというのがひとつの方法なのだと思いますが、そうなると、それと同じような問題なら何とか解けたとしても、見たことのない図形が出てきたら、そのたびにその問題の解き方を覚える必要があり、結局のところ、本人がイメージして解けるようにはならないだろうと思います。
私の場合、分からないけど解き方だけ覚えて教えるというわけにはいかないので、イメージできない立体などは実際にそれを作ってみて確かめるなどして、経験を蓄積していくしかありません。非常に不便ですし、「見えたら」いいのにとよく思いますが、元々見える指導者は見えない子の感覚がイメージできないため、できない子に指導するのはかなり難しいだろうとも思いますし、私の場合、見える子は助けなくても解けるわけですから、見えないで困っている子に、どうすれば解けるかの手助けをすることはできるので、悪いことばかりではないのかもしれないなと思っています。
空間認知に限らず、普通の文章問題などでも、計算練習ばかりしている子などは、問題のイメージができていないことがあります。放っておいてもイメージが浮かぶ子はいいのですが、そうでない子が算数で苦労することが多いわけですから、苦手な子には実際に具体物で確かめさせたり、絵に表してもらったりすることがとても大切です。
今日のレッスンで、6年生の子のまとめ問題の中に、小学生に出す問題としてはちょっと変化球の(もしかしたら問題の作り間違いかもしれませんが)「24-x+18=16」のxを求める問題がありました。算数が得意な子であれば、24+18-x=16と並べ替えたら解けると気づくかもしれませんし、イメージするのが得意な子などは感覚的にxが26と分かるのかもしれませんが、今日の子は元々算数で苦戦して高学年になってから来てくれた子で、随分できるようになったものの、得意とまではいかないので、考えても当てはまりそうなものがなくて困っているようでした。
そこで、初めは単位も何もつけずに、18足したのに16になってるから、何か変よね?というような感じでヒントを出していたのですが、なかなかぴんと来ないようだったので、「24個のお饅頭が並んでいて、大量に買うお客さんが来て、x個くださいって言ったんだけど、24個で、ああ、足りないなと思っているところに、できました~って18個のお饅頭を持ってきたのよ。それなら足りて、残りが16個になったんだけど」と適当に話を作ったところ、ようやくイメージが浮かんだようで、答えにたどり着きました。
問題が解けずに困っている場合、解き方を教えるより優先すべきことは、その問題の言っていることがイメージできているかどうかを確かめることなのだと思います。
| 固定リンク
コメント