もしかしたら
幼児の時期から塾や教室にお子さんを通わせているご家庭の大半は小学校受験や中学校受験を考えておられることが多いのではないかと思います。
特に、家の近所でとりあえず数字やひらがなを習おうというのではなく、わざわざ探してうちのような小さな教室に来てくださる場合、ほとんどが、幼児期から先の受験を意識しておられるご家庭のお子さんです。
そのため、ご家庭ではまだ特に何もさせていない真っ白の状態で来てくださる幼児さんは限られていて、私自身気づいていなかったのかもと、ある年長さんとレッスンをしていたときに思ったことがあります。
その子は中学時代の同級生の身内のお子さんで、そのご家族自体、勉強や成績をさほど気にしておられないものの、あるお考えで通わせてくれていて、平仮名は数字の書き方はある程度知ってはいましたが、真っ白の状態で来てくれたので、数の学習に関しては私としかしていないようなものだと思います。
その子は、足し算や引き算を考えるとき、何も言わなくてもじっと宙を見ながら考えて答えを言います。間違うときも教具をイメージしているのが分かる、18を13と言ったり、11を16と言ったりというような間違い方をします。
速く答えを出そうとして指を折って数えることはしないので、数えないでねともゆっくりでいいよともいう必要がありません。
もちろん、性格的なものもあるとは思うのですが、その姿を見ていて、もしかして、真っ白の状態で教具などの具体物を使いながら学び始めた子は、大人の側が急がさなければ、自分が見たことがあるものを思い浮かべて考えようとするのが自然なのかもしれない。指を折って数えようとする子は、その方法を誰かに教わり、速く答えを出そうとして数えるようになるのではないか。そんなことを考えました。
積み木や玉、おはじきなどを見せながら、数を確かめて進めていれば、その子にとって「3」は、積み木が3つだったり、おはじきが3つだったりするわけで、指を折って1、2、3と数える行為とは結びつかない段階があるのかもしれないと。
具体物を思い浮かべて答えを出すには、小さい子は初めのうちかなりの時間がかかりますから、それを傍で見ている大人が、分かっていないのかなと思って、数えたらいいと教えたりするのではないかと。それをしなければ、具体物を思い浮かべる、思い浮かべるには多すぎてまだ分からない場合は分からないという反応をするのが、もしかしたら自然なのかもしれないと。
真っ白の状態でスタートしたその子は着々とイメージして考えることを強化しているので、この先、私が邪魔をしなければ、きっとそのまま伸びていってくれるのではないかと、とても楽しみです。
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