教えても役に立たないことがある
あるレッスンでのこと。円と球の学習をしている子が、球を箱に入れる問題を考えていた時のことでした。
まずは箱に1列だけ並ぶものを考えてもらったところ、それはすらすら解いていたので、そのまま、次は縦に3個、横に4個のように、何列か並ぶ問題を考えてもらったところ、ふと見ると「7こ」という答えが書かれていました。ぱっと見たときには、どういうこと??と思いましたが、その子は随分考えるようになってきてはいるものの、元々はよく考えずに出てきた数を適当に計算して答えを書くタイプの子だったので、もしかして、縦に入る数の3と横に入る数の4を足したのではないかと予想は付きました。
ですが、全く違うことを考えていたかもしれないので、箱を上から見た図としての長方形を描いた紙を渡し、そこにどんな風に7個入れるのか絵を描いてと伝えました。しかし、待っていても全く手は動かず、しばらくしてようやく「7個じゃない」と言ったので、分かったのかなと思って待っていると、今度は違った方向に迷走を始めました。
とりあえず、イメージが全く浮かんでいないことは分かったので、方眼紙を問題に書かれたサイズに切ったものとコンパスを渡して、そこにまず1つ(問題は半径2.5㎝の球で、箱の縦横は15㎝と20㎝でしたが)上から見た状態を表す円を描いてくれるよう伝えました。
すると、コンパスは開いたものの、そこが中心だと箱からはみ出るところに何度も針を立て、なかなか中心さえ見つかりませんでした。
ああ、こういう状態だったのかと驚きましたが(円の学習で模様を描く問題などは割とすんなりできていましたので)、何度かトライしてようやく1つ目の中心が見つかり、円が描けたら、そこからはすぐ正しい答えが出せて、続きの問題もすんなりクリアしました。
この子の場合、箱に球を入れているイメージが全く浮かんでいなかったのですから、考えようにも適当に数字を計算して答えを出すしかなかったということかもしれません。その状態の子に、縦の長さを直径で割ったものと横の長さを直径で割ったものを掛けるのだというように解き方だけを教えても、その場で答えがマルになるだけで、本人は全く理解できていないままです。
それでは教えても本人にとって何の意味もありません。
イメージと結びついているかどうか、ご家庭などでお子さんと算数をするときに意識しておいてほしいことのひとつです。
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