教える必要があるのか考えてみてほしい
子ども達とレッスンをしていると、小さい子でこれまで特に何もしていないという状態で来てくれた子達はほぼみんな、考えることは当たり前というところからスタートするので、大人が邪魔をしなければ、考えるより先に教えてもらおうとすることは滅多にないように思います。
それなのに、大人が先回りして、子どもがまだ考えていない段階であれこれ教えてしまったりすると、大半の子がいつの間にか教えてもらうのを待つようになります。
算数、それも特に低学年の間は、全て実際に物を使ったりしながら確かめられる範囲のことを学習しますから、分からない場合は理解のために必要な具体物を用意してあげて、子ども自身に確かめてもらえばいいのですが、分かっていないのに解き方を教えられた子達は、納得する機会のないまま、今一つぴんと来ていない解き方を覚えて、その後はそれを思い出して解こうとしがちです。
今日のレッスンで、テープを糊でつないで輪にした場合と、まっすぐ1本につないだ場合の、それぞれののりしろ1つ分の長さを求める問題で、なぜかどちらも「テープの数-1」をした数で割っていたので、(その子はここに来てくれるまでに相当先取りの学習を色々していることもあり)きっとどこかで解き方を習って、それを思い出して解いたんだろうなと、片方は合っていたものの、どちらが合っているかは言わずに、どう考えてその答えを出したのか尋ねてみました。
すると、しばらく黙っていたものの、一向に答えが返ってこず、間違った答えが書き直されることもありませんでした。
そこで、実際に紙テープを問題に書かれた本数分出し、糊も渡して、まずは輪にしてもらいました。
長さは問題とは違うものでしたし、糊も適当につけて貼ったのですが、その作業をしてもらっただけで、今度は明らかに考え始めた表情になり、間違えていた方の答えを直した後、何が違っていたのか尋ねると、今度はきちんとのりしろの数だと説明してくれました。
ほんの少しの時間と手間をかければ、実際に確かめて本人は納得し、きちんと理解できるというのであれば、その手間を惜しんで考え方を教えてしまうのは子どものためではなく、大人が楽をしているのかもしれません。
算数の解き方を教えようとする前に、子どものために、それは本当に教える必要があることなのか、ちょっと考えてみてもらえたらと思います。
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