乗り越えてもらうしか
子ども達に取り組んでもらう課題の中に、タングラムや色板など色々な教具を使って、お手本と同じ形を作るというようなものがあります。
何も言わなくても楽しそうにスイスイ完成させる子もいる一方で、大人から見れば極めて簡単に見えるようなものでも、かなり苦戦する子もいます。
特に一緒にレッスンをするようになって日が浅い子の中には、絶対そこにそれは合わないでしょ?と思うようなものを置いてみたり、そこにそれを置くのはもう3回目なんだけど…というように何度も同じものを同じところに置いてみたり、お手本から明らかにはみ出しているのに気づいていなかったりなど、様々に、なんで??と思うようなことをする子がいます。
ですが、そういう子達もだんだんと辺の長さや角の大きさなどの感覚を、自ら会得していくようで、いつまでもできないままという子にはこれまで出会ったことはありません。
当の本人も、できるようになってしまえば、過去にあり得ないようなものを置いていた記憶などはきれいさっぱり消え去っていそうな雰囲気です。
ですが、例えば、絶対それは合わないよと思うものを置いてしまう段階、同じものを何度も置いてしまう段階を経ず、大人の側が、それはそこには合わないでしょ?そこはこれが合うんじゃない?などと、あれこれ手助けをしてしまったら、その場では完成するかもしれませんが、本人が会得したわけではありませんから、ひとりで完成させることはなかなか難しいままでしょう。
形を作る課題に限ったことではありませんが、教えてできるようになったことは、しばしば「その場限り」になることがあります。
子ども達が悩んでいたら、助けてあげたほうが大人も楽ですし、心も痛まずに済みますが、結果的にそれが子どもの力を奪っているとしたら、助けなかった結果、意地悪な先生だと思われるぐらい、いくらでも我慢できます。
もちろん、全くどうにもならない状態の子をほったらかしにするのは論外ですが、全体を見るようにとか、辺の長さ、角の大きさに目を向けるような声掛けをしたりするにとどめ、子ども自身が課題を乗り越え、力を獲得してくれるよう促していくことが大切だと思います。
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