ヒントが子どもの足を引っ張る
教室を始めるまでは、子どもの頃や学生時代に自分が使っていた問題集などもほぼそういう形でしたし、塾に勤めていた頃使っていたワークブックなどもやはりそうだったので、それが当たり前と思って、疑問を感じることすらなかったのですが、世の多くの問題集、ワークブックなどには、問題の横などに解き方のヒントが書かれていることがあります。
また、例題の解き方が丁寧に書かれていて、その続きには例題をまねて解けば解けるものが並んでいるというようなものもよく目にします。
しかし、例題を見ながら、それを真似て解く場合、きちんと意味を考え、自分が何をしているのか理解しているならともかく、恐らく少なくない割合で、深く考えることなく、真似て解いて解けたというだけの状態の子がいるだろうと思います。
また、書かれたヒントは、時にはほぼ答えなのでは?というようなものがあったり、ヒントを頼ることで、結局自分で考える機会を失ったり、解けたものの、何をしたのかわかっていないなんてことも起こったりします。
15年ぐらい前になると思いますが、普段はヒントなどの書かれていないプリントが中心なところ、学年が上がってワークブックなども併用するようになった子が、ワークブックの欄外に書かれた解き方のヒントを読んで「先生、これ、答え書いてるで?」と言ったのは今でも忘れられません。
今日のレッスンでは、中学受験をする予定の小学生さんで、まだ同位角、錯角などの考え方を習っていない段階の子に、それを知らなくても、既に知っている知識の組み合わせてちゃんと解ける問題を考えてもらっていたのですが、ヒントに小さく「平行な線を3本引きましょう」と書かれているのを読んだようで、線は引いたもののその子にとってはヒントにならず、思考はストップ。
平行な線を引いて分かるなら引けばいいけど、これまでに知っていることを使って解けるよ?と伝えると、平行な線を消して考え始めました。
文字になっていなくても、良かれと思って大人が与えるヒントも、本当なら色々な解き方を思いついたかもしれないのに、定番的なひとつの方法に限定してしまうきっかけになったりすることもあります。
本当に助けが必要な場合は助けなくてはなりませんが、与えようとしているヒントは本当に子どものためになるのか、意識しておくことが大事なのではないかと思います。
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