分かるところを探す
今日は祝日ですが、年間予定ではレッスン日で、振替希望の方もいたので今日来た子は2人。のんびりムードでのレッスンになりました。
そのうちひとりの子と小数の学習をしていたときのことでした。
1mのひもをひとりが5分の2取り、もうひとりは残りの0.6の分を取ると、それぞれ何㎝になるかという問題があったのですが、最初のあまりに考えていない間違いは置いておくとして(先に取った子が0.4「㎝」と答えていました!!)、その子が40cmというのはなんとかなったものの、「残りの0.6」が通じません。初めの子が全体の0.4を取っているので、残り全部が0.6だというところから離れられない様子です。図を描いて、全体を1mとして、初めの子がそのうちの5分の2を取ったと分かるようにしてもらっても、まだぴんと来ないようなので、ためしに「あとの子が残りの半分取ったんだったら、どのぐらい取ったってこと?」と線分を指して尋ねると、あっさり、残り60cmにあたる部分の半分の長さを示しました。そこで、「半分って言い方じゃなく、分数とか小数とかでいうと、それは残りのどれだけか分かる?」と尋ねると、「2分の1。」というので、更に「うん、合ってるけど、2分の1って小数の何と同じか分かる?」と尋ねると、少し考えて「0.5。」と。
ここまで来れば大丈夫。「うん、そう、残りの半分は残りの0.5。で、問題は残りの0.6よ?」というと、残りの部分の半分を更に5等分した図を描いて、0.6にあたる長さを図示してくれました。
それができればもう大丈夫。少し待っていると、正解の36cmが出てきました。
これはひとつの例ですが、子ども達とレッスンをしていて、何かが分かっていない様子の場合、どこまでは分かるのか、何なら分かるのかを探るのが私の大事な仕事のひとつなのではないかと思っています。
仮に、残りの0.6が理解できない子に、何が分かっていないのかを見つけないまま、残りが60cmでそのうちの0.6は60×0.6をすればいいのだというように解き方を教えてしまったとしたら、その場で答えは出せるでしょうけれど、その子はなぜそれで答えが出るのか全く理解できていないかもしれません。そんな状態で答えを出したものは、ほどなく忘れ去ってしまう場合がほとんどでしょう。
今日の子がもし「残りの半分」さえ理解できなかった場合は、色々なものの半分が量として理解できているか確認する必要があるでしょうし、それが理解できているようなら、例えば実際に1mのひもを用意して、先に理解できた40cm分を目の前で切りとり、残りだけ目の前にある状態にしてみるなど、どうすれば問題の意味が理解できるか探っていただろうと思います。
言葉で説明して教えることは、教える側には簡単なことかもしれませんが、それが子どもに届いていなければ、教えた時間、そのために子どもが費やした時間は無駄になってしまいます。そうならないように、極力説明して教えることはせず、いかに本人に気づいて、理解してもらうかに力を尽くしています。
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