考えていないわけではないけど
今日のあるレッスンでのこと。
塾で学校よりかなり先のことまで学習しているらしい中学年さんとのレッスンで、小数や分数の学習をしました。
問題に「10mの0.2倍は、10mを10に分けたものが2つ分なので( )mで…」というものがありました。
そこまで書いてあるので、読めばすぐわかるだろうと思っていたのですが、なぜかずっと考え込んで、ようやく手が動いたかと思えば、5mと答えました。
子ども達にとって、小数倍や分数倍というのはイメージがしづらいようで、例えば、10mの5分の1は何mかと尋ねれば答えられる子でも、5分の1倍(同じことなのですが)と「倍」がついた途端、混乱する子もいます。恐らく、倍というのは掛け算で、掛ければ数は大きくなるというイメージがあるからなのではないかなと思いますが。
で、5mと答えたのは、0.2倍の意味がわからず、2分の1にしたというようなところかなと思いますが、「10の0.2倍」を式に表すことができるかどうか尋ね、なんとか「10×0.2」と書いてくれたので、それは塾で習ったのではないかなと思ったのですが、記憶にない様子。
そこで今度は「0.2×10」と答えが同じになることを確認して待っていると、今度は「0.20」と答えました。
0.20は0.2と同じなのでは?と言ってもぴんと来ていなかったので、0.2×10はたし算で表すとどうなるか尋ねました。
すると、0.2を10回足す式を書いたので、それなら分かるはずと待っていたのですが、まだ分からない様子。
そこで、0.2+0.2+0.2+0.2+0.2のところを囲んで、その答えを尋ねると、しばらく考えて、またも「0.10」と答えました。
考えてもらうのに使っていた計算用紙に、それより前に0から1までを10等分した数直線を描いていて、それを見れば、0.2を5回足したらいくつになるか分かるのに…と思いつつ、気づいてくれないので、その数直線を指して、「0.2はここなのに、5回足してなんで0.1って小さくなるの?」と言ったところ、ようやく数直線が目に入ったようで、1になると分かったようです。
そのやりとりを経てようやく、10×0.2が2という答えに辿り着いたのですが、その間、その子は適当な答えを書いていたわけではなく、その子なりに一所懸命何かを考えてはいました。0.2を5回集める際、きっと2×5で10になったのを、繰り上げずに繰り下げたのだろうというのも分かります。
真剣に考えてはいるのですが、その子の頭の中にはイメージが全く浮かんでいないのは間違いありません。0.2を数直線上の量としてイメージできていれば、絶対に0.10という答えは出ないからです。
考えている子に対して「ちゃんと考えなさい」といっても全く何の助けにもなりません。
考えているのに見当違いの答えを出す子は、量のイメージが浮かんでいないのだろうと思います。そういう子には、まず手を動かして図が描けるようにすることが大切なのではないかなと思います。
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