試行錯誤の仕方
子ども達を見ていると、こちらが何も言わなくても自然と手が動いてあれこれ書いてみたり、書かずに何やら頭の中にイメージが浮かんでいそうだったりという子がいる一方で、どうも全く何もイメージできていなさそうだな、その上ても全く動かないなという子もいます。
当然ながら、ほとんどの場合前者は算数が得意で、後者は苦戦しているわけですが、私自身は空間認知の能力は持って生まれてこなかった側なので、立体図形などで苦戦する子の気持ちは理解できるものの、小中学校の算数・数学では空間図形以外でさほど苦労した記憶はないので、本当の意味では「分からない子の気持ち」は分からないのかもしれません。
例えば、先日、ある子が、今のお母さんの年令と子の年令が分かっている状態で、お母さんが子どもの2倍になるのは何年後かを求める問題で、どう考えたのかも分からない間違った答えが書かれていたので、「どう考えていいか分からないとしても、1年後はそれぞれ何歳、2年後は…って順番に考えていけば絶対解けるよね?」というと、本当に1年ずつそれぞれの年令を書き出し、正解を見つけました。
それまでは何もわかっていないけど、とりあえず出てきた数字を何かして答えを書いてみたという状態だったのではないかと思いますが、全て書き出して正解を見つけたときのその子の表情は、とても穏やかでした。
今日のレッスンでは割り算の虫食い算で手が止まっている子に、最初に決められる場所を示して答えを考えてもらった後、手掛かりから、「ここに入る数字は2つしかないけど、わからなかったら0から9のどれかしか入れられないんだから、全部入れて確かめてみたら?」というと、やはり順番に確かめ始めました。
そのぐらいは言わなくても自分でできるのではと思っていることでも、苦手な子にとっては「試行錯誤の仕方」自体が全く分かっていないということもあるのかもしれません。
解き方を教えるのはその子のためにならないので、余程の事情がなければしないと決めていますが、試行錯誤の仕方自体が分からない子に「色々考えてみて」といっても、動き出せないのは当然なのかもしれません。
できることまで教える気は全くありませんし、それぞれの子が精一杯頭を使ってくれることを目指してはいますが、全く手が動かない子には、どんなふうに「手を動かせば」いいのかのきっかけを示してあげることも必要なのかもしれませんね。
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