今の日本の学校制度では、公立の小中学校はみんな決まった年齢になれば小学生になり、特別な事情でもない限り、成績などは関係なく、年齢と共に学年が上がり、小学校は6年、中学校は3年で卒業するので、ひとりひとりの子の成長スピードや能力などはほとんど考慮されていないと言えるのではないかと思います。
その上、全員が同じカリキュラムですから、得意な子も苦手な子も、同じものを与えられ、同じように進まねばならないことも多いでしょう。
教室でご縁を頂いている子の中には、もしかするとただ単に成長スピードがゆっくりなだけなのではないかと思うような子もいます。
理解できるまでに時間はかかるものの、算数のセンスは感じられるというような子もいます。
もちろん、算数が大好きで学年より遥か先の内容でも労せず理解してしまうような子もいます。
理解が速い子は授業が退屈というような困りごとはあるかもしれませんが、まあ、それなりにやっていける場合が多いかと思いますが、理解するのに時間が必要な子、ペースがゆっくりな子は、もしかすると進むペースを落として、その子がしっかり理解できるようになってから先に進むということを繰り返していけば、どこかでペースが上がって、最終的には6年間のカリキュラムをこなせるなんてこともあるかもしれませんし、仮に6年で終わらなくても、きちんと理解しながら進めるのであれば、勉強嫌いにはならないかもしれません。
お困りごとがあってご縁を頂いたある子は高学年に差し掛かり、授業の進度も内容もこれまでよりハードになってきています。そのため、意味は理解できていないものの、解き方を覚えて解くというようなこともせざるを得ないところが出てきています。
ですが、その子自身は明らかに色々な成長を見せていて、できるようになったことがたくさんあり、単に成長がゆっくりなだけなのかもしれない。進度を気にしなければ、きちんと理解して先に進めるかもしれないのに…と。
ただ、そんな中でも、その子自身が考えられる方法、理解できる解き方というものがあれば、たとえそれが手間のかかる回りくどい方法であっても、ひとまずそれをよしとしてあげたいと思います。
その昔、教室を始める際にお世話になった先生が、積み木などの数を1個1個数えさせてはいけないとおっしゃいました。数える癖がつくと、能力が低いところでとどまってしまうのだとのことでした。
そういう面は確かにあるようには思いますし、算数が得意な子は1個1個数えるということは確かにしていないように思います。ただ、数えて確かめなければわからないという段階がある子に、数えるなといえば、その子は当てずっぽうで答えを出すしかなくなります。数えなければ分からない子には数えさせて、それを少しずつ減らしていくというステップが必要なように思います。
それと同じように、学年が上がればみんなが理解できるなんていうことはなくて、数の感覚が伴なっていない状態で桁の多い計算をするとなると、それはもう解き方を覚えて機械的に処理をするしかないわけです。
ペースがゆっくりの子の場合、学校の進度を気にすれば、そういう勉強になってしまう部分も出てきてしまうのがジレンマです。
最近のコメント