どうすれば伝わるか
子ども達とレッスンをしていると、時々、これまではどの子にも当たり前に通じていたようなことが通じず、戸惑うことがあります。
もう随分前のことですが、お困りごとがあって、小1の早い段階からほぼ全く勉強をする機会のないまま3年生になったという子と1年生の初めから一緒にレッスンをさせてもらったとき、数の大小を比べるという、基本中の基本のような問題で、「3と5はどっちが大きい?」というような問いにきょとんとしながら「大きい?」と尋ね返されたことがあります。
3と5、どちらが多いか尋ねれば、すぐに5と答えられたので、その子にとっては数に対しての「大きい・小さい」という表現に触れることのないまま過ごしてきていたということなんだなと思ったものの、さて、どういえば分かってもらえるだろうかと頭をフル回転させ、積み木を3個積んだものと5個積んだものを見せて、「どっちが大きい?」と尋ねてみたところ、5の方を指してくれたので、「うん、そう、5が大きい」と言って、それを何度か繰り返した後、問題に戻ったら、今度はすんなり理解してもらえました。
今日のレッスンで、ある子と角の学習をしていたところ、久しぶりに「尖っている(とんがっている)」が通じていないのかな?と思う場面に遭遇し、尖っているほうが刺さると痛いと言ってみたものの、表情を見ると伝わっていない様子。
元々は、三角定規のそれぞれの角が何度かを尋ねただけだったのですが、その子の中では大きい、小さいとそれぞれの角度が結びついていない様子だったので、角は尖っているほうが小さいのだといっても、どこが一番尖っているか(30度の角を選んでもらうための質問だったのですが)ぴんと来ておらず、刺さったら一番痛そうな角は?と尋ねてもまだぼんやり。
さて、これはどこで詰まっているんだ?と悩みつつ、先が丸くなった鉛筆を見せて、「これは丸くなってるけど」といって芯を削って尖らせてから「これがとんがってるよ。刺さったら痛い!」と言って、もう一度三角定規を見せ、「こことこことここ(3つの角を指して)、刺さったらどこが一番痛そう?」というと、今度は30度の角を指さしてくれて、「そう、そこが一番痛い。とんがってるね。」と確認してから、再度三角定規の図を見てもらって、その図の一番尖っているところを尋ねると、今度はちゃんと30度のところを選んでくれました。
その後は、次に尖っているところ、その次というのも答えられましたし、尖っているほど角度が小さいということも結びつけることができました。
分かってほしいことが伝わると私も嬉しいですし、そういうときは子どももニコニコしてくれるので、お互い幸せな時間なんだろうと思います。
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