「ああ!」と言ってくれるまで
ここでのレッスンで、私は子ども達に対して「わかった?」と尋ねることはほとんどありません。尋ねることがあっても、そのときには子どもの言葉ではなく、表情を見ています。
そもそも、子ども達の表情や反応を見ていると、きちんと理解できたか、まだ曖昧か、理解できていないかはおおよそ判断がつきますので、たとえ子どもが「わかった」と言っても、これは多分あやしいなと思えば、確かめるための問いかけをしてみたりもします。
今日のレッスンで、最近結構調子が出てきている子と体積、容積の学習をしていたときのこと。体積は縦、横、高さをかければいいということは問題を通じて理解したのですが、容積の問題も内のりを考えずに、ただ与えられた数字をかけ算して答えを出していました。
図が描かれていて、板の厚みが1cmと書いてあるにもかかわらず、なぜか外側の長さと内側の長さが同じではないことがぴんとこない様子。
図の厚み分のところが分かりやすいように線で区切ってみたりもしましたが、なかなか気づいてくれません。そこで、教具を使って箱を作ってみせ、外側の長さと内側の長さが同じかどうか具体物を見て考えてもらいました。
すると、箱を見ながらしばらく考えた後、突然「ああ、そういうことか!」と言って、すっきりした表情で手が動き始めました。一度納得がいくと、他の問題もどう考えたらいいかすっと分かるようになり、先ほどまで何に詰まっていたんだろう?というほどでした。
ただ、もし仮にこのとき、具体物を見せることなく、内のりは外側の長さから板の厚み2枚分を引かなくてはいけないというようなことを説明してしまえば、その場で解くことはできるようになるでしょう。でも、その子はなぜそれで答えが出るのか、自分ではぴんと来ていないままですから、記憶にも残りづらい上、1枚分ひくんだったかな?2枚分だったかな?と曖昧になったり、深さなのに2枚分引いてみたりということをしてしまいがちです。
説明すること、教えることは、指導する側としては簡単なことですが、子どもが本当に理解できるかどうかは全く別の話ですから、時間が許す限り、子どもが「ああ!」と言ってくれるまで、なんとかがんばりたいと思っています。
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