算数が苦手な子の場合、やり方を教えて、その通り真似をさせれば、計算問題などは答えを出すことはできることも少なくないと思います。
習ったときに習ったことを再現するのであれば、苦手な子でも練習すれば大半の子が答えを出せるようになるでしょう。
ただ、習ったことを深く考えることなく覚えただけでは、すぐに使えなくなってしまうことが珍しくなく、苦手な子ほど、何をすればよかったのか混乱しがちです。
今日のあるレッスンでも、これまで数のイメージがしっかり身に着かないまま高学年になってしまったらしい子が、78.9から6を引くのに、
78.9
- 6
のように、位をそろえずに書き、そのまま78.3と答えようとしました。その子は掛け算なのに小数点の位置を揃えようとしたりということもあったので、念のためと思い、私は「78.9-6」と横の式で書いて考えてもらおうとしたところ、本人が左上のような式を書いたのです。
「位を揃えてね」などと教えるのはとても簡単ですが、その子はかけ算では位を揃えようとし、それ以前にできていた足し算、引き算では後ろを揃えようとしたということは、教室でやった後に学校で習い、計算の仕方だけを覚えようとしたため、結局曖昧になっているのだろうと思いました。
その状態で教えても、今度はまたかけ算で位を揃えてしまうかもしれません。
どれだけ記憶に残るかは分かりませんが、ただ教えるのではなく、本人になんとか気付いてもらいたいと思い、「そこの9から6を引けるの?」と尋ねたり、「0.9から6を引いたらいくつになるの?」などとほぼ教えているようなことを尋ねたりもしたのですが、どうもぴんと来ない様子。
そこで、ではためしにと「じゃあ、78.9から10引いたらいくつになるか分かる?」と尋ねると、少し考えた後「68.9」と答えました。ああ、それは分かるのかと、「じゃあ78.9から1引いたらいくつ?」と尋ねると、今度はさっきより更に考えてから、なんとか「77.9」と答えられました。「その1はどこから引いたの?」と尋ね、「それなのに6はそこから引くの?」と尋ねて、ようやく一の位の下に6を書いて、正しく計算できました。
算数が苦手な子ほど、たとえ時間がかかっても、何をしているのか、どう考えたらいいのかを自分で理解できることはとても大事なことではないかと思います。苦手意識があるものはなかなか記憶に残りませんから、習ってもすぐに忘れてしまって当然とも言えるからです。
さすがに5年生、6年生になってくると、かけられる時間にも限りが出てくるかもしれませんが、小学生の間になんとか、しっかり自分で考える習慣を身につけてほしいと思います。
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