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2022年1月 7日 (金)

必要な作業

今日のあるレッスンでのこと。少し学年が上がってから来てくれたこともあり、ぱっと解いてぱっと答えが出るものは好きだけど、じっくり考えるものになると途端にテンションが下がる感じの子で、それを昨年少しずつ克服しつつあったのですが、年末、色々予定がおありとのことでレッスンに来てくれたのがほぼひと月ぶり。お正月休みを挟んでボケている子も多いので、その子に関しても、昨年コツコツ積み上げつつあったものがまた初めからになってしまったんだろうかという印象を受けました。

そんな中、78.9mのひもを6mずつ切り分けると、何本取れて何mあまるかという問題を考えてもらったところ、まずは78.9÷6を筆算で解き始めたので、その間別の子を見ていたところ、答えに「14本取れて3mあまる」という謎の答えが書かれていました。そこで、計算用紙に目をやると、13.1まで計算した後、0.3余っているものをそのまま「3」と書き、13.1がなぜか切り上げられて14になったようだということが分かりました。
ただ、その答えを書いた時点で、その子の頭には一切ひもを切っていくイメージはされていないであろうことは分かりましたので、どうしてその答えになったのか尋ねたところ、説明もできません。
なんとなく計算をして、なんとなく答えを書いただけですから、もしもその答えが正解だったとしても、その子にとって全く役に立ちません。
その後何度もやりとりをし、最終的にその子自身が何とか考え付いた解き方は、6を繰り返し足していくというものでした。そして、13回足し合わせた時点で78になり、こちらが何も言わなくても手が止まったので、ああ、これでようやく答えが出るんだなと思っていると、今度は最初の6を数え忘れて12本と書きかけ、再度確かめ直し、ものすごく長い長い時間をかけた末、ようやく「13本取れて0.9mあまる」と答えることができました。

恐らくその子がその問題にかけた時間をずっと待ってくれる塾や教室はまずないだろうと思います。おうちでお子さんがそんな風に問題を解いているのを見たおうちの方も、きっとよかれと思って助け舟を出したり、アドバイスをしたりするだろうと思います。
でも、人から教えられたことは、よほど興味があることでなければ、大抵すぐ忘れてしまいますので、その子は自力で解けるようにはならないことも珍しくないでしょう。
じっくり考えることが身についていない子に対しては、どれだけ時間がかかろうと、それがまどろっこしい方法であろうと、その子自身が考えて答えを出すことができたという経験を重ねていく必要があります。
あとはそれを待つだけの時間的余裕があるかどうかという問題があり、学年が上がってくると学校の授業の進度も速くなるため、時間的に待てないとなると、機械的処理のような楽しくない勉強を選ぶしかなくなるかもしれません。

そうならないためにも、小さいうちにたっぷりじっくり時間をかけて考えることを身につけてもらえたら、子どもだけでなく親御さんにとっても幸せなことなのではないかなと思います。

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