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2021年11月 9日 (火)

初心を忘れぬよう

教室を始めた頃、教えてはいけない、待つことが大事と教えて頂き、とにかく子ども達の表情を見ながら、待たなくては、待たなくてはと思っていた時期があります。その結果、それまで自分が「この程度待てば十分」と思っていた長さは全く足りておらず、特に、小さい子達の場合、予想の3~5倍ぐらい待つ必要があることを身をもって知ることができました。

そのときの衝撃と、それまで関わってきた子ども達に対しての後悔は、きっとこの先も忘れることはないだろうと思いますが、お蔭で、子ども達が考えている間はたとえ時間がかかっても待つという覚悟が決まり、そうして見守っていると、考えることが当たり前という子達がそのまま育っていくことも見ることができました。更には、そうやって大人からすると予想を遥かに超える時間をかけて考えていた子達が、成長と共に段々と考えるのに必要な時間が短縮されていくということも目の当たりにしました。

そうやって、19年目を迎えているのですが、子どもたちが考えるのには時間がかかると分かっているくせに、そして、ベテランの子達はともかく、新人さん達の多くは「初めは予想より遥かに時間がかかる子達」であって当然だというのに、自分が年数を重ねていることで、ついそれを忘れそうになることがあります。

今日のレッスンでも、結構考えられる低学年の子が、どうしてそんな式を書くの??というようなことをしました。考えずに書いているのは目に見えていたので、「どうしてそうなるの?パンと袋の数を足したら何が出てくるの?」と言ったものの、気づく様子はなく、次もおかしな式を書きました。
さすがに思わず叱りそうになったものの、ひとまず問題文を読んで聞かせた後は、敢えて何も言わずに、他の子を見たり、持ってきた宿題のマル付けをしたりしていたところ、私としては、叱るよりはしばらく放置した方がまだいいだろうぐらいに思っていたのに(しばらく待っても何も動き出さず、考えないようであれば、その段階でどうするか考えるつもりでいました。)、まずまず長い沈黙の後、手が動き出し、正しい式を書き、答えを出し、1問きちんと解いた後は、もう何も言わなくても次々に正解していきました。

学校などでは出てきた数を適当に、そのとき習っている計算を使って計算すれば正解になるというような問題も少なくないので、その子もその感覚で、よく考える前に式を書いていたような気がしますが、私が何も言わなかったことで、考えるスイッチが入ったのかもしれないなと思いました。

自分自身、どの子に対しても、教室を始めた頃ほどには待つことがなくなっているような気がするので、初心を忘れないよう気を付けなくてはと思います。

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