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2021年10月27日 (水)

気付いてほしい

今思えば、自分も子どもの頃はそういう勉強をしていたところもあったんだろうなと思うのですが、子ども達とレッスンをしていて、それは学びにはなっていないんだと気づいてほしいと感じることが時々あります。
小さい頃から一緒にレッスンをさせてもらっている子達は、基本的にまず自分で考えて理解しようとするのが「普通」なので、ジレンマを感じることは滅多にありませんが、ここに来てくれるまでに学校や他の教室、塾などで勉強をしてきた子達の中には、少なからず、ほとんど役に立たない勉強をしている状態の子達がいます。

昨日のレッスンで、算数・数学がずっと苦手だったというある中学生さんが、正五角形のひとつの内角を求めようとして、「180-5」という計算をしました。その子は小1の頃からずっと算数・数学が苦手だったとのことで、覚えるべきこともなかなか覚えきれないようで、多角形の内角の和についても、既におさらいはしていたのですが、その子の頭の中に、学校で習った「180(n-2)」という公式が極めてぼんやり残っていたのでしょう。180から五角形の5を引くという、明らかにあり得ない計算をしたので、どうして5を引けばいいのか尋ね、五角形で5を引くなら、三角形なら180-3で177°になるの?と尋ねたものの、どうやって求めればいいのかは全く思い出せないようでした。

ただ、正五角形の1つの内角を指して、「ここは直角より大きいかどうか分かる?」と尋ねたところ、「大きいです」と言ったときには、その子は自分の頭で直角をイメージし、比較した上で、きちんと答えられたわけです。

今日のレッスンでは、学校で少しだけメートルの学習もしたらしい2年生さんに、1メートルは何センチか尋ねたところ、「10センチ?」と答えました。これはこの子に限らず、割とある反応なのですが、1mを1cmだと答える子達の頭には、1cmの長さのイメージも、1mの長さのイメージも全く浮かんでいないということです。

そんなあり得ない間違いをする子達でも、10cmがどのぐらいか尋ねると、定規などを目にする機会はよくあるので、極端におかしな長さを表す子はいません。また、自分の身長が1mより高いかどうか、10mより高いかどうかを尋ねると、1mよりは高いけれど、10mもあるはずはないと分かる子がほとんどです。
であるなら、自分の身長が10cmあまりなんてことはないわけですから、知っていることを使って、ある程度予測ができるはずです。

1mが100cmだと答えられない子でも、例えばプリントの1問目が1m=100cmと答える問題だった場合、その答えさえわかれば、2m=200cm、5m=500cm…というように、機械的作業でだだだっと答えを書いてしまう子も少なくありません。ですが、その場合、その子が本当に長さを実感し、理解しているかといえば、かなりあやしい場合も多々あるのです。

公式や換算を機械的に暗記し、それに当てはめて答えが出せるという状態は、学校のテストなどではある程度点数が取れ、「勉強ができる」と思ってしまうことがありますが、そういう勉強をしていると、応用問題などになったときにたちまちお手上げになったりもします。

速くできることが必ずしもいいことではなく、たとえ時間がかかっても、本当の意味で理解することの方が、長い目で見れば遥かに自分の役に立つということは多々あるのではないかと思います。
自分にとって役に立つ学びというのがどういうものなのか、気づいていない子達には、なんとしても気付いてほしいと思ってしまいます。

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