発達のペースがゆっくりなので、学校の進度はあまり気にしなくていいので、子どものペースに合わせて進めてくださいとのことでレッスンをさせてもらうようになった低学年さんとのレッスンがおよそ1年になりました。
おうちでの指導に限界を感じられて来てくださったのですが、実際、初めは5までの数もぱっと見て把握ができない状態でした。それをその子もコツコツがんばって、もちろんおうちの方も一緒にがんばってくださって、5まで、10まで、20までと比較的順調に進んできたものの、それまでに、授業でも指で数えて答えを出すことが習慣になってしまっていたようで、イメージするより先に指で数えてしまうところがあったり、100までの数は本人もがんばっているのがわかるものの、どうしても今ひとつぴんと来ていない様子で、試行錯誤もしていました。
今もまだ変化や進歩が感じられて喜んだかと思えば、少し後戻りというのを繰り返してはいますが、徐々に反応がしっかりしてきたようにも感じていました。
つい先日、学校のあゆみで、入学以来初めて算数で「よくできる」を付けてもらったと、おうちの方がお知らせをくださって、本人も嬉しそうだったので、よかったなと思っていました。
そして、今週のレッスン。長さや時間などまだ理解がぼんやりしている単元はあるものの、そこばかりやっているとしんどいだろうと思い、学校でしたという割り算を一緒にすることにしました。
学校でしてしまっているので、九九を使って答えを出すことはまずまずできていたのですが、実際におはじきを使ったり、絵を見ながら、マルで囲んで分けてみたりという作業を経て、割り算の計算のプリントに進みました。
教室のプリントは九九の範囲を超えた数でも、割り算の意味を理解していれば解けるはずということで、答えが11や12になるようなものも混ぜているのですが、その子にとっては初めての問題のはず。「55÷5」の問題を、その子はどう答えるだろうと、まずは黙って見ていました。
分からないと言ったら、実際に積み木の教具を使って確かめてもらい、それでもぴんと来ないようなら、それはまだ今できなくてもいいよと言おうと思っていたのですが、静かに問題を見つめ、絵を描くでもなく、指で数えるでもなく、かといって、分からないときにぼーっとしたり、「わかんない」と言ったりする様子もなかったので、そのまま待っていると、静かに「11」と答えを書きました。
学校で習っていないはずの、きっと初めてだったはずの問題を、何の助けもなく解けたことがとてもとても嬉しくて、「すごい!そんなの学校でしたことないでしょ?なんでわかったの?」と尋ねると、うまく説明はできないようでしたが、嬉しそうにニコニコしていました。
今うちの教室にそういう子はいませんが、塾に勤めていた頃などには「(やり方を)習ってないからできません」という子が少なからずいました。例えば、九九を覚えていても、3×11はできないというような子がいるのです。(3×10=30を知っていてもです。)
とすれば、その子のクラスの中に、「55÷5」はできないと答える子がいてもおかしくないだろうと思います。
ゆっくりゆっくりではあっても、確実に成長しているのだなと改めて感じられて、私も本当に嬉しく思いました。
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