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2021年5月27日 (木)

しみじみ感心

高学年のときに算数で強い拒否反応が出て、うちに来てくれるようになった中2さん。とても一所懸命で、コツコツがんばっているものの、ペースはかなりスローなまま。授業の進度が速くなる中学ではどうなるか、正直なところかなり心配していました。
それでも、思った以上にがんばって、中1は常に平均より十分上の点数を取っていたようで、普段問題を解くペースを考えると、テストの限られた時間内でこれだけ解けているのはすごいなと感じることもよくありました。

その子と、今週レッスンをしていたとき、やはり手が動き出すまでには、もどかしくて何か言いたくなるぐらいの間がありますし、計算も、少しでも速く時間短縮をするのであれば、その途中式は省略できないのかなと思ってしまうほど、きっちりきっちり本当に細かく途中段階の式も書くのですが、連立方程式の少し複雑なものを「まずはちょっと解いてみてくれる」と言って見ていたところ、ノーヒントであれば面倒な解き方をしてしまう子が多かったり、引っかかる子が多かったりする問題を、ほぼ全てノーヒントで次々と、お勧めの解き方で解いていくのです。

係数が全て小数になっているものは、小数のままでも解くことができますので、まずはどうやって解くかなと見ていたところ、何も言っていないのに、10倍や100倍をして、係数が整数になるようにしました。係数が分数のものも、最小公倍数を掛けて係数を整数にしていました。加減法で解いた後、代入するならその式が一番簡単だけど気づくかなと見ていたものは全て、一番簡単な式に代入していました。
中でも感心したのが、A=B=Cの形式のもので、例えば、「2x+3y=5x-2y=6」のような形であれば、「=6」になる式を2つ作るのが簡単だということは、まあ言わなくても気づく子が多いと思うのですが、AにもBにもCにも文字の項がある場合、どことどこを取って式を作るかによって、解くのが簡単になるか面倒になるかの差が大きい場合があり、何も言わなくてもそれに気づく子は、センスがあるか、本当によく考えているかなのだろうと思いますが、その子は何も言わなくても、それに気づいて2つの式を作ったのです。

この子はペースは確かにかなりスローではありますが、これはもう数学はかなりできる人になっているのでは?!と改めて驚きました。
あんなに算数が嫌だったのに、ここに来てくれるようになってからは、意味がわからないのに解き方を丸暗記するような方法は我慢できなくなったそうで、ゆっくりながらも、きっと本人が納得できるまで考えて、それを積み重ねてきたからこその今なのだろうと思います。
その子を見ていて、本当にしみじみ感心しました。

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