先回りはしない
長年レッスンをしていると、子どもが間違いやすいところはある程度把握できています。
例えば、0、1、2、3の4つの数を使ってできる2番目に大きな数を答えるというような問題を初めて解く子の多くは、一番大きいものは3210と答えられても、少なくない割合の子が2番目は2310というように、上の位を交換してしまいます。ノーヒントで一発正解する子は限られている印象です。
では、そういう類の問題を、私とは初めてする子がいた場合、初めに注意を促すことはもちろん可能ですし、先に類題を一緒に解いてからさせる方法もあるわけですが、それをすると、一発正解できるかもしれない子にとってはいらぬお世話になりますし、正解できない子にとっては、自分で考えるより先に説明されるわけですから、浅い理解で終わってしまいがちです。
ですから、敢えて何も言わずに、まず解いてもらうようにしています。
今日のレッスンで最近一緒にレッスンをさせてもらうようになった高学年さんが0から9までの10個の数字を一度ずつ使ってできる10ケタの数で、2番目に大きなものという問題で、やはり上の位の9と8を入れ替えました。
その子は、算数で苦戦をしているということで来てくれた子なので、数の感覚も十分には身についていない印象で、これからじっくり取り組んでもらわねばならないのですが、考え方を理解してもらうために、まずは1、2、3の3つの数でできる一番大きな数321の次の、2番目に大きな数を答えてもらったところ、それでも231と答えました。でもまだ私は何も教えずに、その3つの数を使って作れる3桁の数を全て書いてもらうことにしました。
すると、ゆっくりゆっくりでしたが、321、123、231、213、132までは書けたものの、それで全部だと言います。そこで、更に、百の位を指しながら、「百も二百も2つあるのに、三百だけは1つしかできない?」と尋ね、312に気づいてもらいました。
全部書き出せたところで、「じゃあ、2番目に大きいのはどれ?」と尋ね、「312」と答えてもらった後、更に1から4までの4桁にして、千の位が4で始まるものを同じように全て考えてもらいました。ただ、これまできちんと理解せずに通り過ぎてきたことが少なからずある様子のその子は、千の位を4と決めた4桁の並べ方でもスラスラとはいかず(4の後に先ほどの3桁の並べ方を全て付ければ済むのですが)、「まだあるよ?」「百の位が1のはもうないの?」などと尋ねながら、6つ書き出してもらった後、1番大きいのがどれで2番目がどれかを確認し、どこが変わったのか確かめてもらいました。
そんなやり取りを経て、先ほどの問題、「9876543210」の次に大きいのは「9876543201」だと答えてもらえました。
しかし、次に一番小さい数を答えてもらうと、今度は(これも初めに同じような間違いをする子はいますが)「1234567890」と答えたので、今度は0、1、2の3つの数字を並べて考えてもらいました。
分かっていることは先に説明するのは子どもに対して失礼だったり、迷惑だったりしますし、分かっていないことを自分で何も考えないうちに説明されても、分かった気になるだけで、深いところで納得はしていないことは少なくありません。
ですから、極力いつでも敢えて先回りしないよう気を付けています。
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