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2021年5月26日 (水)

思い込みを手放させる

先日から一緒にレッスンさせてもらうようになった、数学で苦戦している中2さん。体験レッスンでの様子を見た限りでは、授業で習ったことを覚えようと努力し、そうはいってもじっくり考えて身に着けたことではないので、大半はボロボロとこぼれていき、このときは掛けるんだったかな、割るんだったかな、こういう問題はどうやって解くんだったかな…というような頭の使い方をしていそうな印象でした。

そういう状態で年を重ねた子達には、まずは図を描いたり、回りくどくてもコツコツ考えていけば答えが出せるはずの問題を、ノーヒントでとにかく解いてもらうことも大切なことのひとつだと思っているので、その子にも、じっくりおさらいできるのは中2まででもありますし、まずは自分で考えたら解けるのだということを実感してもらうべく、小学校5・6年のおさらいから始めています。

今回の問題の中に、兄が分速70m、弟は分速50mで1800mの池の周りを反対方向に歩いていくと何分後に出会うかを問うものがありました。もちろん、式で表せば「1800÷(70+50)=15」でおしまいなのですが、その子はどう考えたらいいのか分かっていない様子でした。ですから、まずは2人合わせた距離がどれだけにあれば出会うのかわかるか尋ねたところ、それもぴんと来ていない様子。そうなると、解き方を教えたところで、その子にとっては全く何もイメージできていないまま答えだけ出せたということになってしまいます。当然それは避けたいので、紙に適当に楕円を描き、背中合わせに2人の棒人間を描いて、進む方向の矢印と速さをそれぞれ書き込んでから、半周あたりに印をつけ、その子に尋ねました。

「2人が出会うのは(半周の印をした)この辺か、それよりこっち側か、こっち側か(弟の方が長い場合と短い場合)、どの辺か分かる?」

すると、少し考えてから「この辺」と弟の方が短いあたりを指しました。「それはなんで?」と更に尋ねると、また少し考えてから「兄の方が速さが速いので…」と答えました。これでようやくスタートラインでしょうか。

「(スタート地点を指して)ここから1分で兄は70m、弟は50m、2分で兄は140m、弟は100m(動いていく様子を指し示しながら)ってことよね?じゃあ、もうわかるんじゃない?どんな解き方でもいいから考えて。」

そういうと、何か手を動かし始め、15分という答えを出しました。どう考えたのか尋ねると、地道に考えたようではありますが、2人合わせた距離が1800mになったら出会うのだということはちゃんと気づいたようでした。

解けた後で、「1分で2人合わせて120m進むんでしょ?で、2人合わせて1800mになったら出会うんだったら、式も分かる?」と尋ね、また少し考えた後、1800÷120=15と書いてくれました。

他にも、釘10本の重さが80gなら、釘900gはおよそ何本か一の位までの概数で答えなさいという問題は手つかずだったので、10本80gなら、800gは何本か分かるか尋ねました。即答してくれるかと思いましたが、それも自信がなさそうだったので、もし、別の種類の釘1本の重さが2gだったら、その釘2本なら何gか、5本なら何gかと尋ねたら、それは即答してくれたので、本数と重さの関係は比例か反比例になっているか尋ね、比例していると答えたので、先ほどの80gと800gは何倍になっているか尋ね、10倍と答えられたので、再度本数を尋ねて100本と答えてもらった後、160gなら何本か尋ね、20本と答えた後、先ほどの問題に戻ってもらったところ、きちんと自分で答えを出すことができました。

まどろっこしいことかもしれませんが、まずは自分できちんと考えられることを積み重ねていけば、解けることが少なくないということを実感してほしいと思っています。それを積み重ねていく中で、忘れたら解けないとか、数学が苦手だという思い込みを少しずつ手放してもらえたら何よりです。

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