« 興味深い | トップページ | オフ »

2021年5月15日 (土)

それが通用してきたんだろうな

ある程度学年が上がってからご縁を頂いた子達の多くは、あまり嬉しくない癖を身に着けていて、まだろくに考えないうちにとりあえず答えを書いて「合ってる?」と尋ねてくるとか、とりあえず書いてみて反応を見、違っていそうだなと感じたら、また適当に答えを書き替えて反応を見るということを繰り返すとかいうことをしがちです。

今週のあるレッスンでも、まだ一緒にレッスンをするようになってひと月ほどの子が、「〇〇?」と尋ね、私が無反応であれば「△△?」と先ほどとは違う答えを言い、それでも無反応だと、更に…と、思いつく答えを次々繰り出してきました。
そのうちひとつの問題は、81本のものをひとりに6本ずつ配ったら、何人配れるかというもので、計算としては81÷6=13あまり3と解いていたのですが、答えを14人としていました。「なんで14人なの?」と尋ねたら、すぐに「13人」と書き替えたので、いずれにせよ、理由をきちんと答えられなければ、今後も同じような間違いをする可能性があると思い「なんで?」と尋ねたところ、あっさりその答えを消し、次は掛け算を試し始めました。

こういうことをする子は、学校などでは恐らく珍しくないと思いますが、本当はおかしな話です。何度も何度も答えが変わるということは、その子自身はその問題を全く考えられていないということですから。

深く考えようとせず、手あたり次第色々な計算をしているその子に、「その問題、本当に考える気があるんなら、割り算も掛け算も知らなくたって、絵を描いたりしたら、小さい子でも解けるよ?」というと、そこで初めて6つマルを描いてはそれを囲み、またマルを描いては囲みを繰り返し、マルを81個描いて、13回囲んで、最後が3個になる絵を描き上げました。
その後、先ほど何度も書き換えていた答えを「13人」と書いたので、もう一度「なんで?」と尋ねると、絵を指しながら「最後、3個しかないから。」と答えました。これが、この問題をその子が自ら考えて意味を理解したということだろうと思います。この感覚がない状態でいくら問題数をこなさせても、運がよければ正解、悪ければ不正解というのが続いていく可能性が高いでしょう。

しかし、その子がその状態でいられたということは、これまでずっとその手が通用してきたということなのだろうと思います。そして、そういう子は世の中にたくさんいるのも事実なので、それを思うとなんとも切ない気持ちになります。

|

« 興味深い | トップページ | オフ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 興味深い | トップページ | オフ »