不思議だけど
1月からレッスンをしている新6年生さんは、多分算数のセンスはいい方なのではと感じるのですが、多分これまで学校などで速く解かなくてはという方に意識が向いていたんだろうなという感じで、最も大事なポイントをきちんと詰める前に適当に計算を始めてしまう癖がまだ抜けません。
ここに来るまでに学校生活をもう5年近く送ってきていたわけですから、それがすぐすぐ抜けるはずもないのは分かっていますが、気づく力があるのに、どうしてあとちょっとぐっと考えて、自分で納得がいってから解き始めないのか、見ていて不思議に感じます。
その子には最近新たな目標ができて、そのためにはもっと算数の力も伸ばさなくてはなりません。そういう話は繰り返し繰り返し、もう耳にタコができるぐらい言っているのですが、問題を読んだら反射的に手が動き始める感じがまだ抜けません。計算が速いのはもちろんいいことですが、間違った計算をどれだけ速くできても、全く点数にはつながりません。
今日のレッスンではこれまでに解いたことがあるはずの植木算の、ほんの少し面倒な問題が出てきました。道の両側に木を植えるということと、道の長さや植える感覚がどちらも小数になっているものだったので、まずはしっかり問題を読むように言った後、こちらで簡単に道の絵を描いて、問題ではどんな風に木を植えるのかポイントとなるところを描いてもらったところ、初めは両端には植えない状態で描こうとしたので、もう一度問題を読むように言ったところ、今度は道の両側および道の両端に木が植えられることを把握できたようでした。
それさえきちんと押さえられれば解けるはずなので考えてもらっていると、道の長さを間隔で割って出た56(間の数)をそのまま2倍して112本だと答えます。式の意味を確認したところ、道の長さを植える間隔で割ったと答えたので、その計算で木の本数が出るのか尋ねたのですが、またそこでぐっと考えることなく、「あ、じゃあ(1本減らしてから2倍した)110本!」と答えます。「なんで1本減らしたの?」と尋ねると、またも反射的に「え?間の数より1減らしたから。」と。「なんで間の数より1減らすの?」とまで言ってようやく、先ほど描いた絵を見て、少し考え始めました。それでもまだ二度、三度やり取りが必要でしたが、ようやく答えに辿り着きました。
その子にとっては、この問題を読み始めてからかなり終盤まで、実際に両側に木が植えられている道がイメージされることもなく、先ほど描いた図もなんとなく描いただけで、木と間隔にどんな関係があるか意識が及ばず(これまでに学校などでも習っていたのに)、思いつくことを片っ端から口に出し、適当に計算を繰り返していたようでした。
しかし、こういう状態になってしまっている子は、学校などでは決して珍しくないのだと思います。
きちんと意味を考えることなく、習った通りにやって答えを出すということを繰り返していると、そんな状態に陥ってしまう子はいくらでもいます。ただ、その状態では、その子は恐らく目標を達成することは不可能に近いので、これはどうにかして、少しでも早くそこから抜け出してもらえるよう、これからもがんばっていかねばと思います。
| 固定リンク
コメント