たとえゆっくりでも。
5年生の半ば過ぎに算数に強いコンプレックスを持ってしまったということでご縁を頂いた子が、その後コツコツがんばって、とりあえず、算数、数学はまあ好きと思えるぐらいになってくれました。
それでも、問題を考えるペースはまだまだかなりゆっくりで、普段のレッスンで学校より先に進むのがいつもギリギリ、1回お休みになると抜かれてしまうこともあったぐらいの状態が続いていて、中学校で授業のペースが速くなり、内容も難しくなると、ちょっと厳しくなるかもなと思っていました。
それでも、レッスンではいつもコツコツよくがんばってくれていましたし、中学生になってからこれまで、コロナ禍でイレギュラーだらけの中学生活にも関わらず、ずっと平均点より十分上の得点を続けてくれてはいました。
そして、今回の学年末。試験範囲がかなり広いこともあって、全てをおさらいするだけの時間はなく、時間制限のある中でこの子がどれだけ解けるか、予想がつきませんでした。
しかし、返却されたテストを見てびっくり!問題数もかなり多く、グラフの問題もあれば、作図に関する問題も3問もあり、更には当然計算問題その他もあって、本当に1年間の総まとめのようなテストだったというのに、最初から最後までしっかり解いた形跡があり、その上難しい問題も含め相当数正解もしているのです。
むしろ、これはできたよね?という計算問題を1問ミスし、図形の選択問題もほんとならできたよね?というものがあったので、もしそれも正解していたら、学年でも上位10%かそれ以上に入ったのでは?というような出来でした。
それを見て、驚きと喜びを感じると共に、塾講師だった頃のある中学生のことを思い出しました。その頃勤めていた塾は中学生はそれぞれ2クラス、おおよその成績で分けられていて、成績上位のクラスにいるこの中にひとり、もう大半の子が解き終わり、板書での解説も終わって、消して次に進もうとすると「先生、待って、待って!まだそこ書けてないんで!」と毎回のように言う子がいて、少なくとも数学に関しては上のクラスではしんどいのかもと思っていました。
それでも年度の半ばも過ぎており、国語などは十分できていたこともあって、そのまま上位クラスで授業を受け続けた子が、最終的に神戸高校に合格したのです。
彼女は、周りの子に比べるとペースは遅かったものの、理解できないところは「なんで?」と分かるまで質問してきましたし、みんなを待たせるわけにもいかないので、板書は残したまま次に進んだとしても、自分で納得するまで問題を考えているような子でした。
今思えば、そういう学びをしていたからこそ、しっかり身に着いたということなのかもしれないなと。
今回の中学生が今後どうなっていくかはわかりませんが、ペースがゆっくりであっても、ひとつひとつ自分が納得してから進むことは、やはりしっかり力になるのだなと感じさせてもらえた出来事でした。
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