自分で教室を始めるきっかけになった、ある教室で目にした出来事があります。まだ2年生だという小さな男の子が、分数の学習をしていて、2分の1時間や6分の5時間などを何分かに換算する問題を解いていました。
2年生で分数というだけでも、その頃の私にとっては衝撃的だったのですが、その子が時計の文字盤を見つめ、最後は10分の7時間を42分と答える姿を見て、なんだこの子は??天才なのか??どういうことだ??とあまりに想定外の出来事を目にして、衝撃を受けました。
その頃私は、それまで勤めていた塾で、中学生達が何の疑問も持たず、2分の1時間は60×1/2などと式を書いて解いている姿に違和感を抱いていたものの、1時間は60分であり、更には割り算や掛け算が分かっていなければできないはずなのに、どうして2年生が…という驚きを抱いていたのです。
その後、自分で教室を始めてからは、なぜ2年生がそんな問題を解くことができたのか理解できましたし(もちろん個人差はあって、2年生ではまだできない子もいますし、よその教室で見たその子は年少前から教室に通って、既に4年間かそれ以上学習してきていた子でしたので、その子がとりわけすごいということでもありませんでした。)、きちんと意味を理解して学べば、多くの大人の常識や基準など軽々と超えてしまうのが子どもなのだなとも知りました。
それとは少し違いますが、もうひとつ自分の中の当たり前や常識が大きく変わったと思うのは、課題を進めるペースです。当然これも個人差はありますが、塾講師だった頃、週2回の授業で進めていたペースより、教室で週1回のレッスンで進められるペースの方が早いということが多々ありました。平均的な力の子やそれ以上の力の子であれば、スタート時点で学校と同じようなところから始めても、週1回のレッスンでも学校より遥か先に進むことができたりもします。
今日のレッスンでも5年生で現在6年生の教材が終盤に近付いている子と、反比例の学習をしたのですが、反比例をするのとは別におさらいを兼ねて簡単ではない割合の問題をしたり、宿題の直しをしたりした上で、初めての反比例の単元をワークブックでほとんど説明することもなく、問題をピックアップしてグラフや応用問題など、反比例の範囲をひと通り全て学習できました。反比例の学習に要した時間は30分あったかどうかではないかと思います。
そのペースでも無理に進めているわけではなく、十分余裕をもってできているのです。
その昔、塾講師だった頃に、ワークブック2ページ分宿題に出すと、多いとぶーぶーいう子達がいましたが、教室を始めて、小さい頃から一緒にレッスンしている子達が高学年になって、ワークブックを4~5ページやそれ以上宿題にしても「え~、多い~!」と文句を言う子はほぼ記憶にありません。私にとっても、子ども達にとっても、その量が無茶な量ではなく、「当たり前」になっているのだろうと思います。
状況によって、常識や当たり前は色々変わります。ただ、大人の側が、「この歳の子にはこれはまだ無理」などと決めつけてしまうことで、本来ならできることを、子ども自身が「できない」「難しい」と感じてしまう可能性があることを、私達大人は意識しているべきではないかと思います。
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