意識が向くかどうか
今日のあるレッスンで、ある子がしてきた宿題を見ていたときに、びっくりするような答えが目に留まりました。1歩の歩幅が0.6mで、90m歩くのには何歩歩くかという問題の答えに「1.5歩」と書かれていたのです。
その子は小さい頃からがんばってくれているのですが、できるようになったことも少し時間が経つとすっかり抜けてしまうことも少なくなくて、今回は、小数の割り算で割る数を10倍したら割られる数も10倍するはずが、なぜか記憶が書き換えられて、割る数を10倍したら割られる数は10分の1になると思っていたようで、その答えが出てきたみたいでした。
もちろん、私は機械的に小数点を動かすようには教えないのですが、色々数字を変えて尋ねてみながら、思い出してくれないかなと思ったものの、「あ!」という反応はないまま、いくつか例に出した式の答えを考えながら、改めて、同じように点を動かすのだと気づき直した様子でした。
それはそうと、もう高学年なので、90mという長さはまあまあ長いことは分かっているはずで、私が「90mを2歩もかからずに歩けるって、そんな人おらんでしょ?巨人やん、巨人!」というとケラケラ笑いました。笑っているその子を見ると、言っていることは通じているようで、指摘されたら、自分の答えのおかしさには気づいたのですが、本当ならその答えを書く時点で90mを1.5歩って、そんなはずはないなと気づく必要があるはずです。
算数が本当の意味で得意な子たちを見ていると、例えば、90mという文字を見たら、体育での50m走や100m走の経験から、ああ、あのぐらいの長さだなとイメージし、自分の歩幅や60cmという長さもイメージして、1歩1mでも90歩だなとか、そういうことが自然と浮かぶ気がします。
イメージできるかどうかは持って生まれたものもあると思いますが、小さい頃から何かを空想したり、色々な経験をしたりして、イメージできるものを増やすことで広げていけるようにも思います。
90mに1.5歩と答えてしまう子は、数量感覚が乏しいか、算数に興味が薄いか、嫌々宿題をやったか、色々考えられますが、問題を解いているときにそこに意識が向くかどうかで正解率が変わることは結構あるのだろうなと思います。
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