教室を始めて18年目になりますが、元々、自分には経営や営業のセンスは全くないとわかっていたので、自分で教室を始めるなんていうことは実は全く考えたことがありませんでした。
それが、色々な目に見えない力が働いたとでもいうのでしょうか、なぜか自分で教室を始めることになり、まずは3年やってみてダメだったら就職口を探そうと思っていました。
お蔭様でどうにかこうにか「3年以上」続いていますが、相変わらず経営や営業のセンスは皆無のままです。
テレビやインターネットの情報、本などを見ていても、例えばある教育法が取り上げられ、もてはやされるようなときには、その教育法を始めた方や広めた方などは、その方法が絶対に正しく素晴らしいものだというようなアピールをされることがほとんどのように思います。
もちろん、ご本人は心からそう思っておられるのかもしれませんが、そもそも、教育法や学習法に「絶対に正しい」というものなんてないはずです。
天邪鬼なせいもあるかもしれませんが、仮に10人中9人に合う学習法というのがあったとしても、合わない子がいるのであれば、「絶対」ではないわけですし、10人中9人にはお勧めできない学習法でも、残りの1人にはものすごくはまる方法というのもあるのではないかとも思うのです。
更にいえば、科目によっても、効果的な学習法などは違うでしょうし、さらに細かくいえば、単元によってさえ違うのかもしれません。
私自身は、少なくとも算数に関しては、「教えるのではなく子ども自身が考えて気づく」というのはほとんどの子にとって有効だと思っていますし、何より、弊害はないとも思っていますが、それですらも、算数がどうしようもなく嫌いな子、能力的に算数がどうにも苦手な子などには、場合によっては反復による暗記をさせてあげるほうがいい場合もあるのかもしれないと思っています。
ですから、例えば教室に来てくださるお子さんが、うちの教室の考え方とは真逆のような塾や教室に並行して通っておられるような場合に、どういうデメリットが考えられるかや、できれば併用しない方がいいと考える理由などをお話はしますが、その子の人生の責任を私が負えるわけではないので、どうしても断言ができません。
これまでにも、真逆のことを並行してやっていたお子さんは、がんばっているのに思うようには変化が現れず、苦しい状況を乗り越える前にお別れになってしまったことが何度もありました。
そのたび、自分の力不足を悲しく思うとともに、自分の自信のなさ、断言できなさを残念に思います。
もちろん、絶対はありません。だからこそ断言できずにいるのですが、速くたくさんやりなさいという指示と、ゆっくりでいいからじっくり考えてやりなさいという指示は絶対に両立できません。そして、相反する指示を日ごとに変えるとなると、当然どっちつかずになり、効果が出にくくなるか、全く効果が出ないかになるのは恐らく間違いないだろうとも思います。
そもそも、「じっくり考える」ということは、集中できる環境、安心できる、邪魔されない環境、黙って見守ってもらえる環境などが必要で、たくさんの問題をじっくり考えるというのは大人でもげんなりするでしょうし、速くじっくり考えるなんてことも当然できません。
じっくり考えることが身に着いた後であれば、考えるスピードが自然と速くなったりということはいくらでもありますし、脳がある程度出来上がった後でスピードを求める勉強をさせるという選択肢もあるのかもしれません。
いずれにせよ、何年やってもお子さんとのお別れは悲しいですし、そのたび反省したり、後悔したりします。
私にもう少し自信があったら、何か違っていたのかなと、考えても仕方ないことをちょっと考えてしまいました…。
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