子ども達とレッスンをするとき、意識していることのひとつに、意識的に「間違えさせる」というものがあります。
もちろん、間違うことを狙っているわけではなく、子どもによっては間違えずにクリアしてくれることもあるのですが、どういうことかというと、多くの子が間違えやすいところを、前もって説明するのではなく、その子が引っかかるかどうか、まずは見守るということです。
今日のレッスンでも、一次方程式の問題で、係数が小数のものを解いてもらうことになったのですが、多くの場合は、小数は10倍や100倍などして、係数が全て整数になるように直してから解くよう先に指導するのではないかと思います。
ですが、そのように指導すると、例えば、「0.2x+0.7=1.6x-2.1」のような式であれば、ほとんどの子が間違えずに「2x+7=16x-21」と直すのですが、これが「0.2(3x+8)=2.2x」のような式になると、「2(30x+80)=22x」というように、左辺は100倍、右辺は10倍というようなことをしてしまう子が少なからず出てきます。(かつて個別指導塾や一斉指導の塾で見ていた子達の中にたくさんいました。)
もちろん、この間違いは意味を考えていれば絶対しないはずですが、習ったことをなんとなくの理解でやろうとすると、そういうことをしてしまう子が珍しくないのです。
だた、ここは間違いやすいからねと先に説明を加えても、その子自身が自分の頭を使って納得しなければ、ミスする可能性はそのまま残るのではないかという気がするのです。
ですから、そういう問題をまずは小数を整数に直しなさいということも言わずに1、2問解いてもらいます。すると、大抵は小数のまま解いて正解するので、そのまま解いてもいいけれど、項が多くなるとミスしやすくなるので、普通は係数が整数になるように直してから解くのだと伝え、更にそのまま上述の( )があるような式も解いてもらうようにします。
そこで気づく子は何も言う必要はありませんし、言うのであれば、「そこでミスする子多いのにさすがやね」というような声掛けをするぐらいで済ませますが、そこでしっかり引っかかる子には、まずはそのまま解いてもらい、その後、小数のままで解き直してもらうなどして、何かが違うことに気づいてもらうよう促します。
そして、( )があるような場合にはどういうところに気を付けなくてはいけないかや、そもそも与えられた式はどういうことを表しているのかなどに意識を向けてもらうようにするのです。
もちろん、人間ですから、それをしても忘れることはあると思いますが、それすらしなければ、頭に残るものは更に少なくなるだろうと思うのです。
問題や子どものタイプなどによっては、間違うのではないかというところに先回りせず見守ることも、印象に残すために有効なのではないかと考えています。
最近のコメント