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2020年8月22日 (土)

やるせない

教室に来てくれる子達の中には、まだ低学年でももっと小さい頃から塾や教室に通って、学校より遥か先のことまで習った状態で来てくれる子がいます。
うちの教室が変わっていることもあり、一般的な塾や教室を求めている方はほぼおられないため、学校の授業のレベルでも苦戦しているか、先取りしているけれど本当にこれでいいのか?と思われたり、もっと伸びそうな気がするのにと思われたりしているか、どちらかの保護者の方からお問い合わせ頂くことが多いのも上述のような子に出会う理由のひとつなのだと思います。

さて、その、小さいうちから先取りをしている状態なのにここに来てくれる場合、既に通っているところやお子さんの状態に何も不安や疑問がなければわざわざうちにお問い合わせをくださることはないでしょうから、先取りをしている状態でご縁を頂くお子さんの多くは、先取りの弊害が感じられることが多いのも事実です。

そして、そんなお子さんに出会うたび、同じ大人で同業ながら、本当に申し訳ないようなやるせない気持ちになります。
子ども達が教わったことを一所懸命覚えようとしたのだろうと思います。まだ小さい子達は実際に経験したことがある範囲が限られていますし、世界は狭いので、大人にとっては極めて簡単なことでも子どもにとっては難しいことである場合も多々あります。

実感を伴わないものをテクニックだけで解けるようにしても、それは忘れてしまう可能性が高く、忘れないためには反復が必要になり、意味も分からずにする反復は楽しくないですから、定着度も低く、更なる反復の必要が出てきます。

しかし、多くの場合、先に習ってしまったことをなしにして、真っ白な状態で学習し直させることは難しく、「習ったこと」が思考を邪魔することさえ起こり得ます。

子どもの中には持って生まれた感覚がとても優れていて、ほんの少し何か具体物を見ただけで、そこから広範囲に応用できるような子もいるにはいますが、あっという間に理解したように見える子でさえ、恐らく頭の中に何かイメージが浮かんでいるはずなのです。
イメージを伴わない段階の子には、具体物を使ったりしながら、実感をさせなければ、なかなか本当の力にはなりません。

小さい子に先取り学習をさせる際には、本当にその子が数量感覚を伴っているか、実感できているかに気を付けてあげることはとてもとても大事なことだと心に留めておいて頂きたいと思います。

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