嬉しい経験
教室を始めてから、それまでにはほとんど経験することがなかった場面にたびたび出合うようになりました。
元々教員志望で教育学部出身。教育実習にも行きましたし、学生時代から家庭教師のバイトなどもし、教室を始める前は塾講師などもしていましたが、自分自身が「先生から教わる」ことが当たり前だったので、常に、いかにわかりやすく教えるかということを意識していました。
そうすると、結局は多くの学校や塾で行われている、先生が説明して子ども達が同じようにやってみるという形からは抜け出せず、せいぜい、「学校の先生よりわかりやすい」というような比較での評価しかしてもらえませんでした。
ですが、教室を始めてからは、プリントをする前に教具などで子ども自身に意味を理解してもらったり、問題を見て、これなら何も言わなくても考えられるのではないかと思うものは、いきなり考えてみてもらったりするようになったため、自分の予想を超える解法に出合ったり、教えなくってもこんな問題まで考えられるんだなと感心したりということがたびたび起こるようになったのです。
今日のレッスンでも、まだ小数のかけ算は学習していない子が、5×3.14のような式を書いた後、黙って見ていると、5×3と5×14をそれぞれ計算して、きちんと答えを出していました。整数の部分と小数点以下の部分を切り分け、小数点以下はいくつになるのかを考えたようですが、普通であれば、5×314の答えを100で割る(小数点の位置を後ろから2つ動かす)という形で答えを出しますので、今日の子が使った解き方は、私が教えてしまえば出てくることのない解き方です。
ですが、小数点を境に別々に計算をすれば、小数の意味がわかっている子であれば、例えば仮に8×3.14で14×8が112になった場合、きっとそれは1.12のことだと気づくような気がするのです。(もちろんそれは個々の能力差などもありますので一概には言えませんが。)
やり方を教えないことで子ども自身が工夫し、そのことで私もこれまでになかった気付きをもらえて、更には「すごいね!」と褒めることもできる。これらは、指導者側が教えてしまえば全て得られないものではないかと思うのです。
教室で子ども達と学べることは、本当に幸せなことだなと思っています。
| 固定リンク
コメント