私自身は子どもの頃、今のように「教えられる前に考える」という学び方をする機会がほとんどなかったので、特に算数や数学などでは、先生の説明を聞き、覚えるように言われた公式は特に何も考えずに覚え、それに当てはめて答えを出すという作業をしていることがほとんどでした。
その頃には「これは覚えなくてもいいよ」というようなことを言ってくれる大人が身近にいませんでしたので、気づくことなく大人になってしまいましたが、問題の意味を考える、公式と言われているものの意味を考えるということをするようになってから、覚えるようにいわれた公式の大半は覚えなくても導き出せる、もしくは、公式と呼ぶほどのものでもない(特に算数では)ものだと気づきました。
覚えなくてもいいものは覚える余裕があるか、覚えるのが好きであれば覚えた方が時短にはなるでしょうから、子ども達にも「覚えなくても解けるけど、覚えられたら覚えてもいいよ」などということもあります。
ただ、用語その他、覚えなければ始まらないものもありますので、それに関しては「私は滅多に覚えてって言わないけど、これは覚えるしかないから」などと言っています。
普段私が「覚えなさい」ということが滅多にないことを実感している子達は素直に聞いてくれますが(覚えられるかどうかは人それぞれですが)、昔の私のように、習ったことを覚えて当てはめて解くことが癖になっている子の場合、何でも覚えようとするため、結局絶対覚えなくてはならないことと忘れても大丈夫なことの判断が付きにくいということがあるのかもしれません。
今日のレッスンで、体調不良で学校を休みがちな子が、先週も一緒に復習をしたはずの「比例・反比例」の問題を「これはわからないから先生と一緒にやった方がいいと思って」といって持ってきました。
先週もやったところですし、それ以前にももちろんやっているのですが、まだあっけらかんとそんなことを言うので、「比例ってどんな式で反比例はどんな式だった?」と尋ねるとどちらも答えられませんでした。(もちろん、これまでに何度も出てきているのですが。)そこで、「小学校でも習ったはずだけど、xと決まった数をどうしたらyになるのか説明して」と言っても答えられません。
それが出てこないのに、問題が解けないのは当たり前です。
本人ができなくていいと思っているのであれば、それもひとつの選択ですから、何が何でも覚えなければならないというつもりはありませんが、英単語を覚えていないのに書けないのは当然、知らない漢字を書けないのも当然で、比例・反比例がどういうものなのかは覚えなければできるはずがない。それは絶対に覚えなくてはどうしようもないことだと話して聞かせました。
仮に、y=axやy=a/xの式が思い出せなかったとしても、比例はxを2倍、3倍…とするとyも2倍、3倍…となる関係だということを知っていれば、x=2のときy=5という値を与えられれば、x=4ならy=10になりますし、x=1ならy=5/2になるということは考えられます。2のとき5で4のとき10、8のときには20になるというように考えられれば、y=5/2xという関係を導き出すことはできなくはないでしょう。
ただ、比例がどういうものなのかを知らなければ解きようがないわけです。
その辺りのことを、ただ覚えるのが当たり前の状態になってから来てくれた子達にしっかり伝えていかねばと、改めて思いました。
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