理屈ではわかるけど、ただ寂しい
3年前の夏頃、ある診断がついていて、お困りごとがある子が来てくれることになりました。
言葉に対する弱さもお困りごとのひとつで、当初は問題を考えられていないのが見てわかるので、助けようと声掛けをしても全くこちらの言葉を聞いてもらえず、今日もほとんど無力だった、今日も何も役に立てなかった…そう感じるレッスンがしばらく続き、これは本当に私では何も役に立たないのではないかと思い詰めたある日、まだ3年生だったその子と真剣に気持ちをぶつけあったことがありました。
もちろん、それが何か解決につながったとか、事態が好転すると感じられたなどということはなかったのですが、なぜかそれ以降「はい、聞いて!」というと、その子なりに聞こうとしてくれるようになり、それからはどんどん変化が見え始めました。
学校でも、おうちでも明らかに色々なことがよい方向へ変わったとおうちの方から伺ったときは本当に嬉しく、実際、苦手だった国語も、この程度の出来の子は学校に結構たくさんいるだろうと思うぐらい、少なくとも学校では困らなくもなったようです。
嬉しい変化はたくさんあり、元々優しい子だったので、よりその子の魅力が前面に出てきたような印象を受けていました。
それに伴い、おうちの方がその子の将来を考えて、地元の公立のマンモス校に進むより、手厚く見てもらえそうな中高一貫の中学に行く方がいいのではと思うとのことで、5年生の夏頃に突然、受験をするというお話を聞かされました。
本来はその時点でお別れを覚悟したのですが、うちを辞めるつもりはないとのことで、おうちでも色々ご協力頂く形で一緒に受験算数、受験国語をしてきました。
ただ、理科は私は見られないこともあり、理科は近所の塾に行き始めたと少し前に伺っていて、元々その子は市外から来てくれていたので、ここまで通うのに費やす時間なども勉強に向けるほうがいい(そのほかもっと色々お考えになられた上でのことですが)と思うとのことで、理科を受けている、受験指導ができる塾に一本化することを決めたとご報告を受けました。
理屈では全く持ってその通り、その子自身の負担を考えても、あっちこっちに通うより近くの塾に一本化できる方がいいのは間違いありませんし、受験指導の経験がほぼない私が見るより安心もできると思うので、全く反対する理由はありませんし、いわゆる「普通の」塾でやっていけそうだとおうちの方達が思えるぐらいになったことは喜ぶべきことだと思っているのですが、個性的で本当に可愛い子で、何より当初お互い半泣きになりながらレッスンをしたところから始まっているだけに、突然のお別れに今日は1日ちょっと落ち込んでいます。
でも、あと半年しかありませんから、何としてもその子が希望の進路に進めるよう、陰ながら祈ることにしようと思います。
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