体験レッスンに来られたお父様やお母様には、初めてでお子さんが緊張するかもしれないので、お子さんがそのほうがよければすぐ傍に座って頂いてレッスンを見て頂くことがあります。
そんなときに、これまで何度も感じたことなのですが、熱心な保護者の方が、まだそのタイミングで声をかけたら早過ぎますよ~~~!!というタイミングでお子さんに声をかけてしまわれることがあります。その割合は決して少なくありません。
私が見ていると、まだ子どもが考え始めたところぐらいの感触であったり、ちゃんと考えていると思えるような段階なのですが、「どう考えたらいい?」とか「こことここを合わせるんだったでしょ?」などと、もちろん、お子さんにためによかれと思って、助け舟を出されるのです。
ですが、それはほとんどの場合、お子さんが考えようとしていることの邪魔をしています。
保護者の方によくお話しするのですが、特にまだ小さい子達は大人が想像している3倍とか5倍とか、お子さんによってはそれ以上に「考える時間」が必要です。それは私自身が教室を始めた頃に何度も子ども達に驚かされて、ようやく気づいたことでもありました。
たまたま数人の子がということではなく、小さい子達の大半が、初めは驚くほど時間をかけてようやく考えがまとまる、答えに辿り着くという状態でした。でも、それを邪魔せず、じっくり待って、きちんと最後まで考えさせてあげることを繰り返しているうちに、気づけば考えるのに必要な時間が短くなっているということも本当に何度も目の当たりにしました。
大人は待ってあげたつもりでも、子どもにとっては考えている途中で邪魔をされたという状態が何度も何度も繰り返されれば、当然子ども達はじっくり考えようとはしなくなるでしょうし、特に勉強を楽しいと思えていない段階の子であれば、適当に時間をやり過ごして、大人が助けてくれるのを待つようになるでしょう。
私は塾講師時代、子ども達にわかりやすく説明をすることに尽力したことが子ども達の足を引っ張っていたと気づいたとき、激しく後悔をしました。わかっていなさそうだと、よかれと思って助け舟を出していたタイミングも今思えば早過ぎたのだろうと、そのことも後悔しました。
大好きな子ども達に対して、よかれと思ってしたことが、結果的に足を引っ張っていた可能性が大きいと気づいたときは、過去に関わった子ども達みんなに謝っても謝り切れないと、本当に申し訳なく思いました。
親御さんたちにとって我が子は、私が教室の子ども達を大事だと思う気持ちとは比べ物にならないぐらい大事な存在なのだろうと思います。
だとすれば尚のこと、自分がよかれと思ってしていることが、結果的に愛する我が子の足を引っ張っているかもしれないということは、耐えがたいのではないかと思うのです。
親御さんたちは日々お忙しいことと思いますし、親子さんではなかなか勉強がうまく進まないというお話もよく伺います。
ですが、お子さんが大事であれば、アドバイスをしようと思ってから、最低でもその3倍ぐらいの時間は我慢してから声をかける。よかれと思っても安易にヒントは与えない。考えている邪魔をしない。
そういうことを意識して頂けたら、きっとご家庭での学習でもよりよい成果が得られるのではないかなと思います。
最近のコメント