どこかの教室や塾などに通ったことがある場合や、とても真面目に学校の授業で先生のいうことを聞いて、いわれるとおりにやってきたんだろうなと感じる場合、子ども達がうちのレッスンに慣れてくれるまでに同じよう反応を見せることがあります。
まず、とても多いのは、答えを書くときにこちらの方をチラチラ見てきて、その反応で答えが合っているかどうか探るという反応。次に、ろくに問題も読まずに、雰囲気(?)で式を作り、極めて適当に答えを出すというようなこともしばしば目にします。
そういう癖がついている子の多くは、本当の意味で自分で考えて理解してはいませんので、自分が書いた答えに自信もありません。マルがもらえても嬉しさや気持ちよさを感じることも恐らくほとんどないでしょう。
そういう子達をいかに自分の頭で考えて答えに辿り着いてもらうか、すんなり切り替わる子もいれば、なかなか切り替えられず苦労する子もいますが、いずれにせよ、やり方を教えず、急かさず、待ち続けていれば、多くの場合段々と自分自身で考えることが身についていきます。
そんな、自分でよく考えないうちに適当に計算して答えを出そうとする癖がついている子と、先日から一緒にレッスンをさせてもらっています。
とにかく具体物を使って確認してもらいながら考えてもらったり、絵を描きながら考えてもらったりということを意識的にしているのですが、入会にタイミング的に、こちらでほんの少ししか割り算をしていないうちに、学校で割り算を習ってしまい、九九を使って計算すれば解けるというような浅い理解で問題をこなしてしまったようで、前回に続いてわり算の学習をしようとしたところ、「これわかる!」とご機嫌でどんどん問題を解き始めました。
しかし、敢えて九九の範囲を超えた数の式も入れておいたため、突然ストップ。途端にちんぷんかんぷんな、極めて適当な数を書いてはこちらを見、違いそうだなと思えばまた書き直しということをし始めました。
もちろん、その状態では正解を書いてもすぐにはマルはしませんので、図を描いてもらったり、「18人に18個の飴を配ったら、1つも配れないの?」などのように、数に単位をつけて、何らかのイメージができるように声掛けをしたりしながら、やり進んでいきました。
まずまず順調に進み、今回のレッスンではこれが最後の予定の文章問題を考えてもらおうとしたとき、驚くようなことがおきました。
1箱8個入りのクッキーが5箱あり、それを4人で分けたらひとりいくつになるかというもので、最初にはクッキーが全部でいくつあるかという問いがありました。
すると、いきなり、8÷4=2と書き、私の方を見て、5÷4と式を書き直しました。
問題文を全く読む気がないんだなと思い、「問題を声に出して読んでくれる?」と言ったところ、1か所だけおかしなところで区切ったので、そこだけ訂正をしたところ、スラスラと読んだにもかかわらず、まだ全くぴんと来ていない様子です。
「クッキーが全部でいくつあるか聞かれてるよ?」と言っても、恐らく興味がないのでしょう。もしくは、これまで数年間、たし算を習えばたし算すれば解ける、かけ算を習えばかけ算をすれば解ける…というような感じで、意味を考えることなく、機械的な処理をし続けてきたからかもしれません。
問題文をうまく読めても、その子には全く何のイメージもわいていないのです。
そこで、紙を渡し、「箱がいくつあるか描いてくれる?」と絵を描くように言ったところ、初めは張り切って8個の箱を描こうとしたので、「そんなにあるの?」というと、そこでようやく「あ、5個か。」と言って描き直し、「じゃあ、箱にいくつクッキーが入ってるか描いてくれる?」と言うと、四角の中にマルを8個描きました。
そこまで出来たところでようやく、「じゃあクッキーは全部で何個か聞かれてるけど?」と言ったところ、「え~、たし算かなぁ、かけ算かなぁ」とまたこちらを見てきます。
「答えが出れば何算でもいいよ。」と言ったものの、「答えはわかるけど…。」と言って、式を書こうとしません。
そこで答えを先に書いてもらってから、「それ、なんで40ってわかったの?」というと「え?8こずつ5箱あるから。」と。「じゃあ、式書けるんじゃない?」と言って、ようやく「8×5=40」に辿り着きました。
きちんと問題文を読めているのにそんなことあるの?と、信じられないと思う方もおられるかもしれませんが、算数が苦手な子、普段、計算ばかりを一所懸命練習している子、算数に興味がない子などの中には、こういう子は少なからずいるのです。
問題文を正しく読めても、それと問題が解けるかどうかは全く別物の場合も少なくありません。
そういう子にはいくら「ちゃんと読みなさい」と言ったところで、恐らくできるようになる可能性は低いでしょう。
そのときは、是非問題文を絵に表すよう促してみてください。そうすることで、本当の意味で読めているのかどうか、大人の側でも見てわかりますし、それができれば問題を解くことができるようになる場合も少なくありませんので。
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