たった1回で。
4月の初めに体験レッスンに来てくれて、そのまま通ってくれることになった3年生さん。
おうちの方のお話では、これまでプリント反復の教室に通っていたものの、どうも算数は苦手な様子とのことで、体験では完全におさらいの内容からすることにしたのですが、ああ、これは確かに算数の授業が楽しくないだろうなと感じる状態でした。
真面目にコツコツ取り組む子の場合、プリントなどで何度も反復させられると、意味がわかっていなくても、こうすれば答えが出るらしいというような状態で進んでいくことがあります。
なぜそれが答えなのかを理解しておらず、ちがうと言われたらまた別の答えに書き直すというような反応をする子達は、学校のクラスに一定割合(それも恐らく決して少なくない割合で)いるだろうと思います。
体験に来てくれた3年生さんもその傾向が見られ、問題を解いていても表情はずっと曇っており、何か声をかけるとすぐ答えを書き直そうとする。答えを書いていてもほぼずっと自信がなさそう。そんな状態でした。
まだ3年生になったばかりなので、これは一旦きちんとおさらいをして、これまで学習してきたことの意味をある程度理解してもらってから先に進むほうが結果的には近道になるのではと思い、おうちの方におさらいからさせてもらうことをご了解頂きました。
そして、先週が1回目の正規のレッスン。既に学校でも以前の教室でも習い終わっている1000までの数について、どのように数が繰り上がっていくのか、目に見えるようにお金などを使いながら丁寧に考えていってもらいました。
最初はお金は何度か使ったら、後はそれを思い浮かべて考えてもらおうとしたのですが、何度かではまだ難しい様子だったので、とりあえず表情が穏やかになるまでは使ってもいいことにしようと、何度も何度も硬貨をやり取りしながら問題を解いてもらいました。
1時間、その子なりにとても一所懸命がんばってくれたのですが、この様子だと更にもっと前からおさらいした方がいいかもしれないなと思ったりしつつ、1回目のレッスンを終え、今日が2回目のレッスンでした。
すると、2回目にして、既にあんなに不安そうで落ち着かない感じだった表情が和らぎ、僅かながら笑顔も出るようになり、前回より遥かにスムーズに私の言葉に反応もしてくれて、たった1回でこんなに雰囲気が代わるものかと不思議なぐらいでした。
お迎えに来られたおうちの方に随分変わったということをお伝えすると、前回おうちに帰った後、なんだか随分わかったような感じだったとのこと。
だとしたら、きっとこの子は初めの段階できちんと具体物を見せてもらって、1、10、100というようなものを何かイメージできるようにさえしてもらえていたら、あんな辛そうな表情で次々思いつく答えを書いては消すというような状態になることはなかったのではないかと思え、ちょっと気の毒にもなりました。
ですが、幸いまだ低学年のうちにご縁を頂くことができ、たった2回のレッスンで既に変化が見え始めたので、この1年で算数に対する苦手意識、拒否反応のようなものが薄らいでくれるよう、私も一緒にがんばりたいと思います。
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