今日のレッスンでのこと。
ある低学年さんが2つの時計の絵が描かれたものを見て、その2つの時計に描かれた時間は何時間何分かを考える問題を前回に続いてすることになりました。
低学年には時間計算は結構難しい問題のひとつですので、初めの段階はどう計算すればよいかなどは教えず、絵を見ながら、時には時計の模型を使ったり、質問してやり取りをしたりしながら、答えを考えてもらうことが多いのですが、前回少しやったときには、その子も随分と苦戦していました。
他の学習内容もあったので、とりあえず1枚だけ宿題にも入れておいたところ、全部してきてくれていたのですが、恐らくおうちの方が一緒にしてくださったのだろうなというのが見て取れました。
それでもできるようになったのならもちろん構わないので、再びその類の問題のプリントを出して、考えてみてもらうことにしたところ、「これ、ひき算したら簡単にできるってお父さんが言ってた。」と。
簡単にできたのならそれでいいんだけど…と思いつつ見ていると、5時15分から8時28分までのような、時間の数も分の数も増えているようなものはきちんと正解できるのですが、例えば2時48分から7時20分などのように分の数が減っているものは、どうするのか見ていたところ、時間は7-2をしたかと思えば、分は48-20を」するというように、引ける方から引いてそのまま答えに書いてしまいました。
気になったので、10時17分から2時20分のような時間の数が減っているものだとどうするかしらと思えば、予想通り10-2をして8時間と書いてしまいました。
きっとお父様もただ引けばいいなんて教えられたはずはないと思いますが、その子の理解はそこまでしか辿り着いていないようでした。その後、何をしているかわからないのに答えだけマルになっても、役に立たないよね?と再度確認し、もう一度一緒に考え、次回もまたやるということにしました。
別の中学年の子は、前回とその前に少しずつ分数で割る割り算を学習したのですが、やり方を教えたわけではないのと、さらっとしかしなかったのとで、宿題をするときに何問かわからなくなってしまったそうです。(整数を分数で割るものができなかったようです。)
そこで、お父様や中学生のお兄ちゃんが教えようとしたそうなのですが、本人が納得しなかったのだとお母様が聞かせてくださいました。
お父様はどう教えようとされていたかわかりませんが、中学生のお兄ちゃんはどう教えるつもりだったんだろう?と思いました。恐らくですが、「ひっくり返してかけたらいいねん」というようなことを教えてあげるつもりだったのではないだろうかと。
もちろん、分数の割り算は、そもそも分数自体が割り算を表しているので、「割り算で割る」というようなちょっとよくわからないことをしているところもあり、小学生でもすんなり納得のいく説明というのは難しいという面があるように思います。(一応教科書などでも説明はありますが。)
そんなこともあり、そして、過去私自身も学校で「分数の割り算はひっくり返して掛ければいい」と教えられることになるのだろうと思います。
何もかも全てきちんと理解しなければいけないわけでもないでしょうから、分数の割り算はそういうものだと割り切ってしまうのもありだと思いますが、これまで全て意味をきちんと理解して進んできた子にとっては、やはりそれも意味を理解して納得したいのだろうなと思うのです。
「教える」というのは、やり方を教えてしまう場合と、本質を理解させる場合とで全く違うものになります。
私は整数÷分数をしてもらうときには、まずは答えが整数で出るようなものから考えてもらい(それは絵を描いたりすればきちんと意味を理解できるので。)、次に答えが分数になる、考えやすいものを考えてもらい、何問かそうやった後に、与えられている数をどうしたら答えの分子・分母が出てきているかを考えてもらう。
その上で、ひっくり返してかけたら同じ答えが出るということに気づいてもらうというような流れでやってもらうことが多いのですが、それをすれば、どうするのだったか忘れたときでもなんとか自分で答えを導き出すことができるかもしれません。意味を考えず、ひっくり返して掛ければいいと教わると、忘れたら完全にお手上げです。
ですので、小さい子達に算数を教える際は、どう計算すれば解けるのかというような部分を教えてしまうのではなく、何をどう考えれば解けるのかということを教えるよう意識して頂けたらなと思います。
最近のコメント