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2017年8月24日 (木)

大人の思い込み

私が教室を始めるきっかけになった、ある先生とその教室のお子さんとの出会いがありました。
その教室を初めて見学させて頂いたときのこと。まだ2年生の子が分数を学んでいると聞いて、まずびっくり。更にはそのお子さんはまだ分数の学習をして2回目だとのことだったのですが、レッスンの最後にし始めた問題は「2分の1時間は何分ですか。」というような問題で、その中でも私が心底驚いたのが「10分の7時間は何分ですか。」という問題を「ちょっと待ってね。」と言って時計を見つめ、ほどなく「42分。」と答えたことでした。

なんだこの子は天才か?ととにかくびっくりしたのですが、その後、その教材やその教室のことを知っていくうちに、あの時あの子があの問題を解いたことは別にそこまでびっくりすることではなかったんだなとわかりました。
そして、自分で教室を始めてから何年か経った頃、珍しく参加した勉強会がきっかけで、他塾の先生がうちの教室を見に来られることが何度かありました。
その際、教室で使っている教材と子どもの学年を聞いて、「こんなのできないでしょ?」とか「こんなのどうやってやらせるんですか?」というような反応をされたことがありました。そういう反応を見ると、ああ、以前は私もこう感じていたなぁと思ったものです。

ですが、実際のところ、私たち大人が知らず知らずのうちに自分たちの常識で判断して、こんなのはこの年齢の子にはできるはずがないとか、まだ○○を習っていないのに解けないだろう?とか思っていることが少なからずあるように思います。

勉強ではなく、例えば子ども達が成長していく中で、子どもができるようになったことは全て何もかも誰かから教わったことなのかといえば、そうではないことも色々あるのではないかと思います。
見よう見まねであったり、本能であったり、これまでできるようになったことの発展という感じで自然とできるようになったり、そういうことはきっとたくさんあると思うのです。

それなのに、なぜか私たちは勉強に関しては教えられてないことはできないと思い込んでしまっているところがあるような気がします。
もちろん、教えられていないとできないものもあります。言葉の意味や計算のルールなど、知らなければできないことはありますが、たし算を知っていれば、かけ算を知らなくても解ける問題は色々ありますし、また、割り算を知らない子でも割り算の考え方を使うような問題を解くことができることも珍しくありません。

例えば、こんな問題があります。

たまごが90こあります。このたまごを10こずつ箱に入れていくと、箱はいくつになりますか。

3年生ぐらいからはこれを読むと「90÷10=9」と解くのが自然なのだろうと思います。
ですが、教室でこの問題が出てくるのは、まだ掛け算も割り算も習っていないときです。
それでもこれまでその問題を一緒にやった子は全員(多少の助けが必要な場合はありましたが。)、式は書けなくても9箱という答えは出せるのです。

どうしても式を書くのであれば、90-10-10-10-10-10-10-10-10-10=0とでもすれば、9回で0になるので、箱が9ことわかる感じでしょうか。

これを解く子ども達の頭に浮かぶのはかけ算なのか割り算なのかというようなことではなく、卵と箱なのだろうと思います。

また、例えば、1kg250gのお米を1週間使ったらどれだけになるかというような問題であれば(この問題自体はかけ算を習った後に出てくるので、かけ算で解いて構わないのですが。)まだかけ算を知らない子には解けないのかといえば、もちろんそんなことはありません。
1kg250gを7回たし算をすればいいわけです。

最初に書いた、10分の7時間が42分と答えた子は、その時、時計の文字盤をじっと見つめていました。
10分の7というのが全体を10に分けたうちの7つ分ということを理解していれば、文字盤を10に分けると1つ分が何分になるのかを考え、それを7回集めたら答えが出るわけです。

そして、例えばこのときにも大人は、60分を10に分けるということはわり算が必要になると思いますが、例えば子どもはこんな風に解いたりすることもあります。
「5、10、15、20、25、30、35、40、45、50…ちがうなぁ。6、12、18、24、30、36、42、48、54、60。」
同じ数を10回足していって、60になるものを見つけるというようなことをするわけです。
この考え方だとたし算しか使っていませんし、1つ分が6とわかった後もたし算で解くこともできます。使うとしてもかけ算です。このように、割り算は知らなくても解くことはできるのです。

大人が見ると、何度も何度も同じ数を足していくのは非効率だろうと感じられるのではないかと思います。(私自身もそう感じていました。)
ですが、同じ数を何度も足す手間を経験した後、「同じ数を集めるときには掛け算というものがあるんだよ。たし算だと7+7+7+7+7+7と書く式も、かけ算なら7×6と書くだけでいいんだよ。」というようなことを教わったら、「かけ算て便利だな!」「かけ算て楽ちんだな!」というようなことを感じてくれるかもしれません。
また、その手間のかかる計算をしたことがある子は、かけ算の九九を度忘れしても、足し算でも解けるという安心感を持てることもあります。

ですので、大人の思い込みで「これはまだできないだろう」と決めてしまう前に、「絵を描いてもどうやって考えてもいいから、ちょっと考えてみて」というような促しをして頂くことで、子ども自身の学びになることがもっともっと増えるのではないかなと思っています。

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