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2017年7月11日 (火)

嘘だと思われそうですが。

決して能力的にきびしい子ではない、むしろ、言われたことをきちんと聞いて、その通りにすることができるというのはある程度以上の能力があるとも言えるように思いますので、そういう、一般的には「真面目で先生のいうことをよく聞く」というタイプの子でも、教えられたことをきちんと聞いて、「速く」言われた通りに「処理」しようとすることを繰り返していると、こんな風になってしまうことがあるというお話。

3年余り前から少しずつ教材を作っていますが、これまで一緒にレッスンをさせてもらった子ども達がどういうところで苦労するか、ずっと気に入って使っていた教材のどこが足りないか、どこがわかりにくいか、そんな数々の経験をもとに、もやり方を提示するのではなく、子どもに気づいてもらえるように持って行けるような教材が作れないかと頭をひねっています。

その教材を一部の子達には使い始めているのですが、学校ではまだ掛け算の筆算は習っておらず、教室では2桁×1桁、3桁×1桁の暗算は学習済みという子に、掛け算の筆算をしてみてもらうことにしました。
導入として、同じ数を3段や5段などに重ねた足し算の筆算をまず考えてもらうところから始めるようにしたのですが、初めは49+49の2段だけの普通の筆算。次に34を3段重ねた筆算、次に21の4段重ねの筆算、次は65の4段重ね…というように、段の数を増やし、繰り上がりのないものから繰り上がりのあるものへという感じで問題をならべておきました。

すると、足し算の筆算ですから、やり方を聞いてくることはなく、計算をし始め、「5×4は20で…」というように、65の4段だと自然と掛け算も使い、繰り上がりも十の位のところに2と書いて、正にイメージ通りの「掛け算の筆算」の計算の仕方を教えなくてもしているようでした。

自然とそんな風に計算ができていたので、それを掛け算の筆算で書くと49×2、34×4…という風になるけど、意味も考え方も同じだということを確認して、掛け算の筆算をしてもらうことにしました。

すると、たった今、何も教えなくても掛け算を使いながら足し算の筆算をしていた子が、その同じプリントに書かれた掛け算の筆算の式を見た途端、全く違う答えを書き始めたのです。
もう一度先ほどした足し算の筆算の式を指し、今している掛け算の筆算と意味は同じよね?と確認しても、なぜなのか全く違うことを考えているようで、なかなか正しい答えが出てこなくなりました。

見ていた私も何とも不思議な気持ちになりましたが、きっとその子の中で掛け算は九九として暗唱したものであって(実際4×6など途中の答えが知りたくても四一から順に唱え、またよくある「し」と「しち」の記憶が曖昧だったりということがあるのは何度も目にしていますが、九九を覚えてしまった後で来てくれた子なのでなかなかすんなり修正が効かないようです。)、意味を考えたことがないのではないかなと。

それでも教室に来てくれるようになってからはとにかくなんでなのか聞かれるし、意味を考えるように言われるしで、少しずつ考えてくれるようになってはきているのですが、筆算で掛け算の符号を見ると、何か変なスイッチが入るんだろうなと感じました。

まだ小さいうちから、覚えたものを使って速く「処理」しなくてはならないような勉強の仕方をさせられると、弊害の方がどんどんと膨らんでいくような気がします。
元々センスがあって、言われなくても意味を理解してしまえるような子は別として、普通は考えることは時間がかかることですので、特にお子さんが小さいうちは、きちんと考えているかな、きちんと意味がわかっているかなということを気にかけてあげて頂けたらなと思います。

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