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2017年6月22日 (木)

子ども自身がわかるまで

元々は算数で大苦戦をして教室に来てくれるようになった子ですが、1年近くの間にかなりできることが増え、自分の頭でしっかりイメージして考えていることも伝わってくるようにもなって、随分成長したなと感じることも多くなりました。
その一方で、恐らくもともと持っている能力という意味では、ほかの得意なこと、好きなことに比べると、算数に関してはスローペースで数量感覚も身につくのに時間がかかるような印象はあるので、100を超えるような数になってくると、イメージするのが大変になり、計算で混乱するようなことが出てきました。

学校ではまだそこまでの計算はしていないので、焦って先に進む必要もありませんし、せっかくこれまでその子がコツコツ自分で理解して積み上げてきたことで、随分算数が好きになってくれた、そのことも大事にしたいので、前回全くイメージできず困っていた何千からの引き算を、今回はじっくりしてみることにしました。

まずは前回たまたまおかしかった可能性もあるので、紙に1000-1と式を書いて、答えがわかるか尋ねました。
しかしすんなりとはいかず、どうにか999と答えられたものの、2000-1になるとまたできなくなる状態でした。
ということは、たまたまおかしかったわけではなく、イメージできていない、理解できていないということだなと、教具を使って、それを触ったり、目で確かめたりしながら、答えを考えてもらうようにしました。

輪ゴムを外して枚数を数えてもらったり、なくなるところを隠してもらったりして、ひとつひとつ確かめて答えを書き、また確かめて答えを書きと、「何千-1桁」の問題を繰り返していたところ、途中から教具を見ずに式だけ見て答えが書けるようになりました。
途中でおかしくなっても、教具を見てもいいよと言うと何か思い出せるようになったようで、触ったり隠したりしなくても答えが出るようになりました。
その後、何千から2桁の数や3桁、4桁の数を引く筆算をしてもらったところ、随分考えられるようになりました。

筆算だと、一番上の位を1減らして、ほかの位は0が9になる、最後は10から引いた数が答えだというように、書き方を教えることはもちろん可能です。そして、それを何度も練習させることで、0が並んだ筆算のときにはこうするんだなと覚えて再現できるようにはなるかもしれません。
でも、それは本人が何をしているのか、どうしてそうすれば答えが出るのかを理解しているかどうかとはまた別の話です。

何をしているのか、どう考えるのかをひとつひとつ理解して進むことは、算数を嫌いにならないためにも本当に大事なことだと思いますし、また、それを積み重ねていくことで、算数が苦手な子であっても「本物の力」をつけていくこともできるように思います。
たとえスラスラ速く解けるようにならなくても、自分で考えてわかるものは大嫌いにはなりにくいようにも思いますし、これからの時代、単純計算のスピードより自分で考えられるかどうかの方がきっと大事になっていくと思いますので、ひとりひとりを大事に、その子のペースに合わせて進めていけたらなと思っています。

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