不思議
面倒なことを嫌がり、やり方を聞いてくることもしばしばながら、きちんと考えたら結構できる、算数のセンスは絶対あるのになぁというタイプの子がいます。
算数が苦手でどうしていいかわからず聞いてくるというのとはちょっと違い、面倒そうだな、難しそうだなと思った時点で考えるより先に「これ足すの?」とか聞いてみるという感じです。それで答えてもらえたら儲けものという感じで聞いているのかもしれませんが、その子との付き合いもぼちぼち長くなり、そんなことを聞いても私が答えないこともわかっているはずなのに、それでも諦めずチャレンジしてくるのは、ある意味すごいのかもしれません。
今日も、学年を考えると結構面倒なわり算などをしっかり解いて、最近は煮詰まることもほとんどなくなったなと思っていたところ、812人の子どもを6人ずつ長椅子に座らせたら長椅子がいくついるかという問題で、まずはすんなり割り算をし始めました。
筆算もしっかりできるようになっていて、答えも余りもきちんと計算できたようだったのですが、余りが出たことで何かひっかかったらしく、「これわり算?」と聞いてきました。
そこで「さあ、どうやろね。たすか引くか掛けるか割るかのどれかしかないよね。」そういうと、「これ、余りある?あったら変だよね?」と畳みかけてきます。
「さあ、余りがあるかどうかわからんけど、なんで余りがあったら変なの?6人ずつ座っていったら絶対ぴったりになるの?」と、ある意味かなりのヒントになりそうなことを言ったはずなのですが、なぜかかけ算をし始めました。
その時点で全く考えていないのはバレバレです。
「かけ算してみたらいいけど、1人ずつ座らせても812しかいらないよ?」
これまたほとんど答えているようなものだなと思いつつも、そう声をかけたのですが、まだ迷走が続きました。
その子のクラスは33人だというので、「じゃあ、○○ちゃんのクラスの33人を6人ずつ座らせたら椅子はいくついるの?」と少ない数、それも自分のクラスの子達というイメージしやすい状況に置き換えて尋ねてみました。
それでもぱっとは答えが出ず、しばらくしてはっと気づいたように、長四角の中にマルを6個ずつ描いて、そのマルが33個になったところで椅子の数を数えて答えを出しました。
その絵を前にして、「じゃあ、33と6はどんな計算したらいいの?」と言うと、なぜかまだすんなりとはいかず、割り算を仕掛けたのに余りがあるからとかけ算をしようとします。
答えが出ているのにかけ算するのはおかしいと止めた後、更に何度かやり取りをしてやっと式と答えが出ました。
時間も終わり近く、それまでにたっぷり頭を使った後だったので、何かおかしくなっていたのかもしれませんが、算数のセンスがある子が812人を座らせるのに椅子がいくついるかという問題で、割り切れなかったからかけ算をしてみるというのが何とも不思議でなりません。
算数のセンスがあるということと、算数に興味がある、算数が好きであるというのは、全く別物なのかもしれないなと、その子を見ていると時々感じます。
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