スピードを求めるのはリスクが高い
これまで何度も書いていますが、小さいうちから速さを求めることは、後々大きなリスクになることがあるように感じます。
2年生の終わりから来てくれている3年生さんは、小学校受験もし、私立の小学校に通っているせいか、算数で問題を前にすると、とにかく速く解かなくては!という状態になりがちです。
最初はこれまでのおさらいなどが中心でしたが、最近は学校で習うより先にこちらでできることが増えてきたので、まず自分で考えてみてもらうようにしているのですが、その「考える」が、これまで習ったことを使ってこうやるんじゃないかなという、なんというか表面的なところに留まってしまうことがあります。
今回のレッスンでは3桁×1桁の問題などをしたのですが、まずは百円玉、十円玉、一円玉などの絵を見ながら、式に表し、答えを考えてもらうということをして、段階を経た後、計算式だけのプリントをしてもらいました。
すると、問題によって、例えば350と15であれば365にすべきところを3515と並べて書いてしまったり、かと思えば、百の位のかけ算で出た答えと十の位のかけ算で出た答えをそのまま足してしまうというようなことをしたりします。
絵があれば絵を見てそれを数えたりしながら考えているのに、計算式だけになると途端にとにかく答えを出さなくては!となるのは、まだなかなか治らないようで、数字だけをあれこれいじっている段階は、答えが全くわかっていないのと変わりませんので、式のところに掛けられる数に合う百円玉や十円玉、一円玉などの絵を描いてもらい、それを見て考えるように伝えました。(掛ける数にあたるものを1回分だけ図示し、あとはそれをどう集めるかの部分を図を見て考えてもらいました。)
すると、正しい答えは出せるようになったものの、それでもまだどこかで速くしなくてはという気持ちが出るのか、2つ3つ描いて意味がわかれば、後は描かずに考えられそうなものを、今度は全ての問題に図を描き、それを見ながら考えていくのです。
もちろん、わからず数字だけをあれこれいじるよりは全て描いて見ながら考える方がずっといいのですが、それでも、考えることが習慣になっている子であれば、初めに絵の描かれたプリントをしているときから、自分が何を考えているか、どう考えれば3桁×1桁のかけ算が考えられるかをなんとなく意識する、もしくはしっかり理解するのが普通ではないかと思うのです。
しかし、普段から速く速く!!と思っている子は、問題を出されたらとにかく速く解かなくては!と目の前のことだけに必死になり、俯瞰で見ることが難しいのだろうと思います。
速くしたいのであれば尚のこと、1つ、2つ図を描いて、それを見て答えを出しながら、こう考えたらいいんだなと気づき、後は描かずに考えられる方が速くなるはずです。
恐らく学校などで速くしなくてはならない場面、もしくは、そう感じてしまう場面が多いのだろうと思うので、すぐすぐ変わるのは難しいのだろうと思いますが、その子を見ていても、やはり小さいうちからスピードを求めることは弊害になってしまうことが少なくないように思います。
もちろん、抜群のセンスで、大人が驚く速さで答えを出してしまうような子もいますので、それは問題ないわけですが、意味を理解していないのに速さを求めると、わかっていないけどやり方はこうだったはず…ということを繰り返し、そのうちそれが勉強だと思ってしまう。そうなると、いざ応用問題などを考えなさいと言われても、習っていないからわからない、何算をすればいいのかわからない、そういう反応につながっていくのではないかと思います。
小さいうちはその子自身がきちんと納得するということをできる限り大事にしてほしいと思います。
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