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2017年6月 6日 (火)

わかってほしいこと。

問題を見ると、とにかく急いで答えを出さなくては!と焦る子どもを見ていると、もっと何かするべきことがあるのではないかと思うものの、そこにある壁が大きすぎて、何をどうすればいいのか、一体どこからどう手を付ければいいのか、全く見当がつかず、そのうち生来の不精が顔を出して、なんとなく申し訳ない気持ちになりながらも、自分が関わっている子ども達だけに何とか…という風に考えてしまいます。

この感情は教室を始めてからずっと抱いているものですし、教室で一緒にレッスンをさせてもらうことができた子達には自分なりに精一杯、急がなくていいということ、考えるのには時間がかかるのだということ、考えてわかると気持ちいいのだということ、合っているかどうかも分からずマルをもらっても自分の力にはならないことなどを、繰り返し繰り返し伝えながら、考えてわかることの気持ちよさに気づいてもらうよう努めてもきました。

それでも、かつての私がそうだったように、やり方を教える。忘れないよう何度も演習させる。それが指導だと思っている大人はきっと数えきれないほどいるでしょうし、言った通りにできる子、速くできる子が賢い子だという評価をする大人もやはり大勢いるだろうと思います。

やり方を教えるとほとんどの子がすぐにそれを忘れてしまう。忘れないためには膨大な量反復させる。その方法は少なくとも多くの子どもは達成感や満足感などを得ることはないでしょう。
でも、指導者側が、それが指導というものだと思っている限り、ずっと同じことが繰り返されるのだろうとも思います。

何事にも例外はありますので、全ての子どもにあてはまるとは言いませんが、例えばなぞなぞやパズル問題などを解いているときに、焦って答えを出そうとするとか、合っているかどうかわからないけどとりあえず答えをいうとか、そんなことをする子はまずいないでしょう。(もしいるとすれば、既に勉強などで急がされ慣れている可能性もあるかもしれません。)そして、なぞなぞの答えを考える前に教えてというような子も恐らくまずいないでしょう。
自分で一所懸命考えて答えを思いついたときは嬉しく感じるでしょうし、たかがなぞなぞやパズルとは言え、わかった、できたという感情は小さな自信を生むかもしれません。

本来、考えてわかることは気持ちの良いこと、楽しいことです。ですから、小さい頃から教室に来てくれていて、じっくり考えることが当たり前になってる子達は、こちらが黙って待っている限り、焦って答えを出そうとはしませんし、心行くまで考えます。そういう子達にとって勉強は「学び」なので、辛く苦しいものではないのだろうと思います。

しかし、問題を前にすると途端に焦って答えを出そうとする子達は、みんな大人の反応を見たり、些細なことを自慢したり、答えがマルになっても嬉しそうということはなく、せいぜい合っていたことにホッとするような感じで、見ていて辛くなります。
でも、そういう状態にしてしまったのは、ほぼ間違いなくその子に関わった大人なのです。

小さい子達に本当にわかってほしい。
小さい子の親御さんたちにも、小さい子達を指導する先生方にも、本当に本当に知っていてほしい。

考えるのは時間がかかること。時間はかかるけど、記憶にしっかり残ること。
考えてわかると気持ちいいこと。安心すること。心が安定すること。
初めは時間がかかっていても、じっくり考えることが習慣になった子達は、そのうち自然と考えるスピードも速くなっていくこと。だから、小さいうちから焦らなくっていいということ。

学ぶことは本当は楽しいこと。

楽しく学べる子どもがひとりでも多くなりますように。
そうすればきっと、陰湿ないじめなども減るような気がします。(なくなるとは思いませんが。)

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