考えないことの怖さ
小さい頃から通ってくれていて、算数のセンスのいい子が受験のために4年生からは塾と並行して通ってくれています。
気を付けてはいるものの、受験塾のスピードは速く、学習順も学校などとはかなり違うので、分数同士のわり算はこちらではほとんど一緒にできないうちに、塾で習ってしまいました。
でも、よくわからないと言っていたので、その後こちらでも復習したのですが、うちの教室ではきちんと自ら考え、理解して、納得して次に進むということが当たり前になっていたのに、先にやり方を教わり、それを覚えて練習するということをした影響が思いのほか大きく、「ひっくり返してかける」という部分だけが強くインプットされてしまったようです。
もちろん、教室ではそんな風にやり方だけを説明することはありませんが、今日のレッスンでちょっと久しぶりに分数のわり算を使う必要がある問題が出てきました。
初めは勘違いして、2つの数をかけたようでしたが、それは自分でもう一度式を見直して気づいたようで、何も言わなくても計算をし直し始めました。
なら大丈夫かなと思っていると、本来は「10」になるはずの答えが「1/10」になりました。
そもそも、円錐の底面の半径と母線との関係を考えるようなもので、底面の半径が母線より長くなるはずがないのですが、今日は眠かったそうで、そのことにも気付いていないようです。
それにしても、10分の1という答えになったということは、逆の計算をしたんだろうか?と手元の式を見ると、計算用紙にはちゃんと「12÷6/5」という式が書かれています。
あれ?と思ってその次にどんな計算をしているのか目をやると、そこには「1/12×6/5」と書かれていました。
なぜか割られる数がひっくり返り、割る数はそのまま掛けられています。
びっくりしてしまって、「なんで最初の数が突然小さくなるの?」と声をかけたのですが、眠いのか何なのか反応がほとんどなく、わかっていないような、眠そうな顔をしてるだけです。
もちろん、子ども達はその日のコンディションによって、普段できることができなくなることもあるので、今日たまたまだったのかもしれませんが、「ひっくり返してかける」という部分だけが頭にインプットされてしまっているんだなということを改めて感じ、どうすればそこを抜け出せるのか、こうなってしまうと、勘違いしないところまで反復訓練するしかないんだろうかと、ちょっと気の毒なような、申し訳ないような気持ちになりました。
ちょっと考えれば、12を分けるはずなのに、いきなりそれが12分の1を分けるということになるのはいくらなんでもおかしいと気づきそうなものなのに、説明から入る指導は、力がある子でさえこんな風になってしまうことがあるのだなと、改めて怖さを感じます。
子ども達にはそれぞれ考える力があるので、できるだけそれを存分に発揮してもらえるよう、努めていきたいと思います。
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