時間がかかったとしても
今年になって来てくれることになった、もう高学年になっている子とのレッスンでのこと。
これまでも詰め込みや機械的処理というような勉強の仕方はしていなかったようではあるものの、学校や塾ではさすがに、とりあえずまず考えてみてというようなことはまずありませんから、学年が上がっているとどうしても、公式などを覚えて、それに当てはめて解くことが当然のようになっている面は否めません。
また、何かに集中してしまうと周辺情報が目に入らないというか、なぜ気づかない?ともどかしくなるような面もあるので、この状態が変わっていくには、ある程度時間がかかりそうだなと思っています。
レッスンの初めに、線対称の問題で前回も答えに辿り着けず、もう一度家で考えてきてと言ってあったものを、結局正解できぬまま持ってきているのを見て、私からしたら、なぜ気づかないかな?と思ったものの、こういうのは口でいくら説明してもあんまり役に立たないということもよくわかっているので、まずはワークブックにかかれた図とは違う形のものを、折り紙を切って作り、本人に渡しました。
その問題は対称の軸が全部で何本あるかを考えるものだったのですが、宿題になっていたものは2つの正方形を45度ずらして2枚重ねたような図で、向かい合う頂点を結ぶ線はすべて軸になるので、全部で8本あるのですが、その子は初め4本と答え、どうしてもそれ以上見つけられないようだったので、もう一度考えて来てもらったのです。
それでも答えに辿り着けなかったようだったので、正三角形を2つ上下さかさまに組み合わせたような星形を作って渡してみたのです。
「折ってもいいから何本あるか考えて」と言って渡したところ、少し考えて、折っては開き、また折っては開きを繰り返しつつも、比較的すんなり6本と答えることができました。
そこでもう一度ワークブックに戻ってもらったのですが、まだピンとこない様子。そして、しばらくすると6本まで見つかったのですが、そこでストップ。
恐らくこの子は図形があまり強くない(女の子にはそういう子は少なくありませんが。)のかもしれないなと思いつつ、「対称」なのだから、そこに軸があるならここにもないとおかしいのになぁ…と心の中で思っていました。
でも、こればっかりは実感しないことにはぴんと来ないものだと自分の経験上思っているので、口で説明してもあまり身にならないだろうと、ワークブックにかかれているのと同じ形を折り紙で作って、それを折って確かめてもらうことにしました。
その結果、先ほどまでは見つけられなかった軸も最終的には見つけられたので、そこまでした後確認として、この位置に引けるのなら、むきを変えたらここも同じ位置関係になるからそこにもひけるはずよねというような確認はしました。
その作業をさせず、本人が気づかないままに説明をして答えが分かったとしても、よほど記憶力がいい子、覚えたものは忘れることがない子でなければ、記憶に残り続ける可能性はあまり高くないだろうと思います。
そもそも、図形があまり得意でない場合、頭の中でイメージすることが苦手ということも大いにあり得ますから、イメージできないものを考えることはできませんし、そうなると教わったことを暗記するだけで、理解したわけではないという状態で先に進むことになるかもしれません。
それは後々本人の力になることはほぼありませんから、たとえ時間がかかったとしても、実感すること、経験することがやはり欠かせないのではないかと。苦手であればあるほど、その作業が大事になってくるのではないかと思います。
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