うちの教室では、割合の学習をするときにも、比べる量とかもとにする量とかいう言葉を基本的に使いません。
もちろんのこと、公式としても教えません。
学校で習うまで、教室の子たちは割合の問題を解く公式があるということは知りませんし、習った後も使っているのかどうかはわかりません。
これまでに何度も書いていますが、割合の単元は一般には苦手な子がとても多い単元です。
そして、その原因のひとつには公式を3つ教えることがあるのではないかと常々思っています。
また、割合を特に小学校では基本的に小数で表すというところにも難しく感じる原因の一つがあるようにも思います。
例えば、20本シュートを打って12本入ったときの割合はと聞かれれば、20本中12本ですから、それを分数で表してと言われると、20分の12(約分する必要があるなら、それを約分して5分の3)と答えることはそんなに難しくないように思いますし、少なくとも、20本中12本は20分の12よね?と言ったときに意味が分からないという子や20本中12本を12分の20という子はほぼいないのではないかと思います。(分数自体の意味を全く理解していないなどの場合は別ですが…。)
20分の12を小数にせねばならないのであれば、それをしてから12÷20をする、もしくは20分の12は10分の6と考えられるので、そこから「0.6」と答えるなど、分数からアプローチする方がハードルが下がるような気がします。
そもそも、小数の場合、割り切れないという場合がありますから、余計子どもが迷う原因にもなるのではないかと思いますし。
また、割合の問題はどの式を使えばよいのか迷う子達や、習った式にきっちり当てはめて解く子達の多くは、自分が何をしているかわからぬままに答えだけを出しているということも少なくありません。
そこで、絵や図を描かせて、問題で聞かれているのはその絵や図のどの部分になるのかを尋ね、それを見ながら考えてもらうと、多くの場合、公式を使って解く必要はなくなります。
もちろん、公式の意味を理解し、自分が何をしているのかもわかった上で、覚えた公式を使いこなすことができるのであれば、それは時短にもなるでしょうから否定はしませんが、苦手意識を持っている子、難しいと感じている子達にはまず、描かせることが何より大事なのではないかと思います。
今回のレッスンで割合を学習した子が、学校で割合を習ったけど、難しくてわからないからキライというようなことを言って、宿題も確かにあまりわかっていないようでした。
そこで早速絵を描いてみてもらい、それを見ながら、公式は使わなくていいから解いてみてと伝えると、自分なりに考えてきちんと正解することができ、「この方が簡単!」と言っていました。
割合に限らず、また、子どもに限らず、結局のところ、イメージできないものは本当の意味では分からないのだろうと思います。
私は残念ながら空間図形の問題はあまり得意ではありませんが、それは頭の中で図形を展開したり、回転させたりすることがうまくできないからです。
算数や数学に関して、問題文の意味がわかることと、問題に書かれていることがイメージできるということは全く別物ということも少なくありません。
元々算数のセンスがある子たちの多くはそのイメージする力に長けているのではないかと思いますが、そうでない場合は積極的に手を動かして絵や図を描くということを、小さい頃から習慣にできるとその後長く役に立つ力になるのは間違いないだろうと思います。
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