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2015年3月 8日 (日)

覚えることと覚えなくてもいいこと

自分が生徒、学生の頃にはあまり意識したこともありませんでしたし、算数や数学の公式は覚えて使うものだとさえ思っていたところもありますので、もしあの頃からそういう意識があったら、その後の人生(?)はかなり違ったものになっていたのかもしれないとも思いますし、そういう指導をしてくれる方にどこかで出会っていたら、大きな影響を受けたかもしれないなとも思います。

私自身、もともとかなりの無精者なので、コツコツ努力する必要のある教科はほとんど好きではありませんでした。
英語や社会、生物や地学系の理科などはとにかく覚えなくちゃ始まらないという感じがした上、覚える方法も機械的な暗記しかほぼ知らなかったので、これらの教科を楽しいと思ったことはなかったようにも思います。

そして、自分でこういう仕事を始めてからも、独立するまでは公式をいかにして覚えやすくするかなど、覚える方法に工夫を凝らすなどの努力はしましたが、公式そのものを覚えなくてもいいという指導はしたことがありませんでした。

ですが、色々なことを「まず考える」という学習を勧めるようになって以来、自分自身が色々考えるようになった結果、公式と呼ばれているものの中に覚える必要のないものが大量にあることに気付きました。
そして、教室の子どもたちにも「これ覚えてね」というようなことをいう機会がどんどん減っていきました。

もちろん、覚えることが苦にならない子や、努力しているにも関わらず、算数の成果がなかなかあがらない子などはまずは覚えて当てはめるということもひとつの方法だとは思います。
でも、やはりそれを最初に勧めることはしたくないなと、今は思っています。

でも、もちろん、最低限覚えねばならないことはありますし(例えば、図形の名称や算数・数学特有の用語、単位などは覚えなければどうにもなりませんし)、そういうことは「これは覚えるしかないから」と言いますし、習ってもその後滅多にお目にかかることのない単位(デシリットルやアール・ヘクタールなど)は忘れてしまってもあまり困らないと思うというようなことも話します。

そんな中、数少ない、絶対覚えてねということのひとつに「1立方センチメートル=1ミリリットル」というものがあります。
体積と嵩の換算は時々問題として出てくるものの、体積の単位も嵩の単位もそれぞれいくつもあるので、それぞれの換算を覚えようとすると、かなり煩雑な上、頻繁に出てくる単位でもないので忘れてしまいがちです。

1立方センチメートルは1センチ角のサイコロ大ですから、それが何ミリリットルかを考えるとなると、500ミリリットルのペットボトルをイメージすれば、多少量感のある子であれば、さすがにあの量が1センチ角のサイコロ5個や50個とは思わないのではないかと思いますし、1対1の対応で覚えやすいから覚えてと言っているので、忘れてしまってもなんとか考えて思い出せるのではないかと。

もちろん、それ以外に「1リットル=10デシリットル=1000ミリリットル」の関係と、1立方センチメートルは1センチ角、1立方メートルは1メートル角のサイコロ大ということは理解していないといけませんが、それらがわかっていれば、例えば「1立方メートルは何リットルか」という問題があったとしても、1立方メートルは「100×100×100」で「100万立方センチメートル」、それはつまり「100万ミリリットル」。「1000ミリリットル=1リットル」だから「1000L」のように、多少まどろっこしくても、答えを出すことはできます。

公式などを提示する際に、覚える必要があるのかは、忘れたら考えて導く方法があるのかを意識しておくことが大事なのではないかなと思っています。

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